3-5. 感想を伝えに来ました
(*綺夏視点)
今日は、何となく気分がいいな、なんて思いながらバイトをしていた。
窓の外を見ると、柔らかな春の日差しが道行く人たちを照らしている。この季節って、自然と気持ちが明るくなるな…つい自分の頬が自然と引きあがる。
そういえば…あのポップについて話した常連さんは、実はあれから見かけていなかった。この前までは、結構定期的に見ていたのに…お忙しいのかな?
本を棚に並べながら、ふとそんなことを考えていた。棚の下の引き出しを開けて、しゃがんで作業をしていると
「あ、見つけた」
優しい声が上から振ってきた。見上げるとあの常連さんだった。
「感想を伝えに来ました。」
いつものスーツ姿に、小さいキャリーケースをもって、穏やかな笑顔をわたしに向けていた。
「あ、この前の方!こんにちは。」
わたしもすっと立ち上がって、その人に体を向けた。
「こんにちは。これ、すっごく面白かった!」
手に持っている文庫本は、この前私のポップを見てその場で買ってくれた本だった。
「ポップに、『日本人としての誇りを取り戻す』って書いてあったけど、俺もそう思ったよ。特に、主人公の筋を通す生き方がカッコよくて、しびれたよ」
「本当にそうですよね!生きざまが尊くて…昔のお侍さんたちの生き方、カッコいいですよね」
自分が面白いと感じた本について、語れることが初めてで、わたしはとても気分が上がっていた。
「そうだよね!こうやって共有できるのも、すごく嬉しいよ。いろんなポップを書いてると思うんだけど、もし他にもおすすめの本があったら教えてくれる?」
「ありますよ。案内しますね」
わたしが先に歩き、キャリーの音が静かに後ろをついてくる。
「この本なんですけど、これも武士道の話で、わたしは感動したんです。」
「そうなんだ。結構、この時代の本を読むの?」
「はい、あと、江戸時代の話も好きです。渋いですよね」
「いやいや、そんなことないよ。俺もこの時代の話は心に響くから好きなんだ」
「共感してもらえて嬉しいです。」
わたしは嬉しくて両手を合わせて拍手をする真似をした。
「ところで、あなたのお名前を聞いてもいい?」
わたしはドキっとした。お客さんから名前を聞かれるなんて、初めてだったから。でも、この人になら、教えてもいいと思った。
「剣 綺夏って言います。私も
お名前をお聞きしていいですか?」
「俺は一ノ瀬上。社会人4年目なんだ。実は、今日も出張から帰ってきて、それでスーツケースを連れてるんだ。出張の移動中にこの本を読んで、感動したから、すぐに感想を伝えたいなと思って」
「出張帰りだったんですね。しかも、その足でご感想を伝えるために来てくださって…ありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ、他の本も紹介してくれてありがとう。それでは、剣さん、またね」
「はい、一ノ瀬さんも…またお待ちしてます」
スーツをなびかせてさっそうと帰っていく後ろ姿をみた。
『素敵な人だな…』
ぼそっと自然に心の声がもれていた。
【潜在意識の視点から紐解く『第3-5話の答え合わせ』】
①「好きな世界を楽しむ自分」が最高の良縁を引き寄せる
「一人でも人生を楽しみたい」と自分の心を満たし、純粋な好き(武士道の魅力)をポップに表現した綺夏。潜在意識は「自分が心地よく満たされている状態」を何倍にも拡大して現実に映し出すため、価値観を深く共有できる素敵な存在(一ノ瀬)を見事に引き寄せました。
②「無理な我慢や警戒心を手放す」と世界は優しくなる
条件で自分を縛ったり無理に相手に合わせたりするのをやめたことで、世界は「ありのままの自分を歓迎してくれる場所」へと変わります。自然体で心をひらき素直に会話を楽しむ軽やかさが、さらに豊かなご縁を広げていきます!




