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親友の弟で姉の親友のわたしたち  作者: りなる あい
第三章:

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3-4. 女子トークは終わらない

(*綺夏視点)


「綺夏~、今日は誘ってくれて、ありがとう!バレー観戦、懐かしい~。思輝のとき、よく家族で行っててさ」


 ぽかぽかと温かい春の陽気の中、わたしはちなつと一緒に大学のバレーボール観戦に来ていた。体育館までの道に咲く桜は少しずつ葉桜に変わりつつあって、春風が吹くたびに舞う花びらに心が弾む。


「わたし、生で見るの初めて」


 コートの熱気と春のやわらかな空気が混ざり合う会場には大勢の人が集まり、各大学の応援団もあって、雰囲気に完全にのまれていた。


「綺夏と連絡先を交換した人って、何番の人?」


「えっと…どこだろう…」


 青いユニフォームに身を包んだバレー部たちは、この前会った時とは雰囲気が違っていた。アタック練習をしているから背中しか見えない…

 必死に探すけれど、まだ見つけられなかった。すると、一人の部員がパッとわたしたちの方を見た。そして、もう一人の肩を掴んでわたしたちの方を向かせる。


 あ、あの人だ!


「ちなつ、あの、肩を掴まれてる人だよ」


「えー!あの人!バレー界で結構有名な人じゃん!」


 ちなつは急に声のトーンが上がった。


「由良って珍しい名前だからさ、もしかしたらって思ってたんだよね。高校バレーで活躍してて、大学もスポーツ推薦で来てると思うよ」


 完全にテンションが上がってるみたい。由良先輩って、そんなにすごい人だったんだ。


「そうなの?というか、ちなつバレー詳しすぎなんだけど」


「当たり前よ!バレー男子、みんなカッコいいじゃん!ま、わたしの彼氏には負けるけど」


 ちなつのミーハーっぷりは全く変わっていない。高校で出会った時から、こんな感じだった。しかも、最近念願の彼氏ができて、とても幸せそうでわたしも嬉しい。今日のちなつの服も、春らしい淡いピンク色のニットで、恋をしている女の子の雰囲気が溢れている。


「さっそくのろけですか。まあ、ちなつが幸せそうで、何よりです。」


ニコッと微笑むと、


「綺夏も素敵な出会いがあるといいね。由良先輩、綺夏のこと気になってる感じだしね」


 ニヤっと意味深な目線を送ってきたけれど、わたしはスルーしておいた。今日はバレーボールを楽しみに来てるから。


 試合が始まると、ボールが勢いよく叩きつけられ、大きく鳴り響く。バレーボールってこんなに激しいスポーツなんだ。こんなに音が鳴るってことは、相当強い力だよね。わたしは迫力に圧倒されていた。


 試合が始まった。結構たくさんの人が来てるんだなと会場の雰囲気を味わっていた。すると、ゲームを見ていたちなつが言った。


「由良先輩、やっぱり光ってるね。得点率、かなり高いんじゃない?」


「よくわからないけど、点はたくさん決めてる感じがする」


「いや~中学のバレーの試合と比べたら、力強さが全然違うわ」


 そうだ…思輝くんもバレーしてたんだよね。中学時代の思輝くん、すでにイケメンだったんだろうな…しかも、高校一年で180センチくらいだから、かなり背も高いし、バレーではきっと活躍してたんだろうな…


「そういえばさ、思輝くんって、なんでバレーをやめちゃったの?」


「いや、わたしも詳しく聞いてはないんだけどさ、『バレーは3年間したからもう十分。他のスポーツも楽しみたい』って言ってた。高校入学したてのころは、バレー部からの勧誘がすごかったって言ってたわ。」


「え?そうなの?結構さっぱりしてるんだね。」


「そうかも。小学校の時はサッカーのクラブチームに入っててさ、選抜とかも選ばれてたから、中学はてっきりサッカーするのかと思ってたら、まさかのバレー部だったんだよね。そして、高校ではいきなり水泳部だし!ほんと、何考えてるかわからないよ」


「え?サッカーもしてたの。しかも選抜って…運動神経いいんだね。なんでも万能にこなすタイプ?」


「正直、身内から見ても、ひいき目なしでスポーツ万能だと思う。わたしにも少しくらいわけてほしかったわ…」


「何言ってんの!ちなつはダンスが得意じゃん!」


「そーお?ありがとう」


 この前、水泳部に入った理由を聞こうと思って、結局聞けていなかった。深い意味はあるのか、それとも単にいろんなスポーツを楽しみたいのか…

 日本は一つのスポーツをやり続ける人が多いから、思輝くんみたいなタイプは珍しいと思った。


 不思議な人だ。そう思うと同時に、自分をもっていて、カッコいいなと思った。体育館の窓からふわりと吹き込んでくる春風が、わたしの頬をなでていく。新しい季節が運んでくるあたたかい空気と、目の前で繰り広げられる白熱した試合。 なのに、気づくと思輝くんのことを考えている。無意識すぎて、そんな自分のことに全然気づきもしなかった。



【潜在意識の視点から紐解く『第3-4話の答え合わせ』】


①「隠れた本心」は無意識の思考に現れる

目の前で別の魅力的な男性が活躍していても、頭の中を満たしているのは思輝のこと。潜在意識はごまかしが効かず、理屈や条件を超えた「本当に心が惹かれている存在」が無意識の思考として現実に溢れ出ています。


②軽やかな春のエネルギーが本音をひらく

「楽しもう」という軽やかな感情と春のあたたかい波動が合わさることで、心の防衛本能が緩み、素直な本音(思輝への惹かれ)が表面化しました。条件やブレーキを手放し、自然と湧き上がる「好き」という感情を認めることが、望む恋を引き寄せる一歩です!


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