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親友の弟で姉の親友のわたしたち  作者: りなる あい
第二章:理想の恋と、本当のやすらぎ

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2-8. わたし、何かしちゃいました?

(✳︎綺夏視点)


「まささん、今晩、チョコレート渡しに行っていい?」


 メッセージを送り、昨日、ちなつと一緒に作ったチョコレートケーキをもって、まささんの家に向かっていた。会う約束を事前にしてなかった。もし忙しそうだったら、バレンタインだけ渡して帰ろうと思っていた。


「家にいるよ。待ってるね」


 メッセージを見て、一安心して歩みを進める。








「こんばんは。お邪魔します」


「どうぞ。寒い中、わざわざありがとう」


「バレンタインの日に、渡せてよかった。昨日、親友のちなつと作ったの。」


「昨日作ったんだ。早速開けてもいい?家、あがる?」


「まささん、忙しくない?」


「うん、少しなら時間ある」


「わかった。じゃあ、ちょっとだけお邪魔するね」


 やっぱりぎこちない…空気で感じる。何というか、まささんが冷たいような気がする。でも、言葉はまるで普通で…今日、早めにお暇しよう。


「せっかくだし、綺夏も一緒に食べようよ」


 そう言って、ケーキを切り分けてくれる。でも、まささんの顔には笑顔がなかった。


「ありがとう。わたし、お茶淹れたらいい?」


「いいよ、俺がするから」


 彼が見えなくなった瞬間、力が抜けた。何だろう、この張り詰めた感じ。居心地が悪い…


 チョコケーキを食べる私たちは、まるで会話がなかった。


「まささん、最近忙しそうだね」


 わたしは何か話題を作りたかった。


「うん、やりたいことがいっぱいで、時間の使い方に悩んでるんだ」


「就活もしながら、やりたいこともたくさんなんだね」


「そうなんだよね。大忙しだけど、充実してるんだ」


 最近、就活で忙しいから、前よりも一緒に過ごす時間が減っていた。そんな時も、まささんは充実してたんだな。わたしがいなくても成り立つ世界を生きてることを思い知って、なんだか寂しい気持ちになる。


「そっか…。あのね、最近わたしが勝手に感じてることなんだけど…まささん、わたしへの気持ちが薄れたのかなっって…。それとも、わたし、何か嫌なことしちゃったかな…?」


 暗くなりすぎずに伝えられたかな…?表情が自然と苦笑いになってしまう。少し俯いて、全く味のしないケーキを食べ続ける。


「実は、前から言おうと思ってたんだけどさ…」


「…はい…」


 何を言われるのか、怖かった。でも、わたしはもうわかってた。いつも振られるのはわたしだから…


「俺、一緒に成長できる人と時間を過ごしたいって思うんだよね。前の綺夏は、いろんなことを頑張ってて、新しいことにも挑戦してて、俺もいい刺激をもらってたんだ。でも、今の綺夏からは、正直学べることがあまりないなって…」


 胸を突き刺す言葉が次々と届いて、わたしはもう受け止めきれなかった。


「わたしから…学べることがなくなっちゃったん…だね…」


 この言葉を返すので精一杯だった。


「そうなんだ。だから、別れて欲しい」


 わたしは目を瞑った。最後の言葉が何度も頭の中でこだまする。


「わかりました。わたしはたくさんのことを学べました。まささん、ありがとうございました。」


 チョコレートケーキはまだ残っていたけれど、彼への想いと一緒にそこに置いてきた。見送りもなく外へ出て歩き出すと、どんどん目に涙が溜まっていく。


 わたしから学べるものがないってなによ…


 悲しみと怒りが同時に湧き上がってきた。一緒に成長し合える関係がいいと最初は思ってた。でも今は、成長しあえなくても一緒にいて心地いい方が良くない?って沸々と怒りと共に感じた。というか、別れ話するってわかってて、何で一緒にケーキ食べようって誘うのよ!


心の中で散々文句を言った。

そしてどんどん虚しくなっていった。


やっぱりこの人ともダメだった…

わたし、恋愛向いてないのかな…


わたしの何がダメなの?


 2月の夜の風は、私の身体だけでなく心の芯まで冷やしていくようだった。


【潜在意識の視点から紐解く『第2-8話の答え合わせ』】


①「~できない私はダメ」という前提が届く結末

潜在意識からみると、自分への評価がそのまま相手からの評価として返ってくると考えます。「今の私じゃ学べるものがない」「もっと成長しないと価値がない」という綺夏の自己否定の思考(前提)を、彼氏の口を通して鏡のように見せられた出来事でした。


②悲しみの裏にある「怒り=本音」の芽生え

冷酷な言葉に「成長し合えなくても、心地いい関係がいい!」と憤りを感じた綺夏。この怒りは、相手の基準に自分を合わせるのをやめ、真の望み(素の自分を愛してほしい)に気づくための、潜在意識からの大切な感情のサインです!



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