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親友の弟で姉の親友のわたしたち  作者: りなる あい
第二章:理想の恋と、本当のやすらぎ

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2-6. あれ、なんだろう…

(✳︎綺夏視点)


 付き合ってもうすぐ2ヶ月。順調にきていたと思っていたけれど、最近、少し心が晴れない…ちょっとした言葉に、わたしが反応してしまう。


「綺夏、シミの対策してる?もっと美容サロンとか、予約したら?」


 きっと、私のことを思って、まささんは言ってくれてるんだよね…?今の私じゃダメ。もっと綺麗になる必要があるって、言われてるように感じちゃってる、わたしの問題だよね…?


 自分磨きをして新しい自分に出会って、どんどん成長している実感が最初はあった。今は、わたしのペースで成長させてほしいって思ってしまう。どんどん新しいこと、やってみたらいいことを教えてもらえるのは有り難いことではあるんだけど…


「俺さ、就活してて素敵な会社が学生向けにセミナーしてるの見つけたんだ。綺夏も参加したらいいと思うんだけど、どう?」


「うーん…最近、予定入れ過ぎて疲れ気味だから、今回はやめておこうかな。余白をつくりたくて」


「そっか、それは残念。俺が勧めたセミナーだから、行ってみればいいのに」


 今日は、ゆっくりしたくて二人で家でお茶をすることにしていた。でも、会話ではまるで何かを急かされてるみたいに感じる。


 わたし、疲れてるんだな…







 寒くどんよりした日々が続く。大学でちなつとバッタリ会った。


「綺夏~、最近どう?」


「冬で暗くなるのが早いからかな…?最近、ちょっと疲れ気味かも」


「えーそうなの?彼とイイ感じなのかと思ってたのに。前はご機嫌だったじゃん!」


「そうなの。前はイケイケな感じで学び欲が高かったんだけど、今はゆっくりしたいって気分になってる」


 ちょっと苦しいって感じてるけど、わたしは笑ってごまかした。


「まあ、頑張る時期とゆっくりする時期って大事だよね。ずっと走り続けてたら燃料切れになるし。あ!そうだ!今度さ、一緒にバレンタイン作ろうよ!その時に家でゆっくり話し聞かせて?」


「それ、めっちゃいい!またちなつのお家にお邪魔させてもらってもいい?」


「うん!チョコ作って、そのあとお茶しよ~」


 わたしの状況を見て、無理に励ましたりせずに、一緒にゆっくりしよって言ってくれる優しさが嬉しい。一緒にチョコレートづくりも楽しみだな。








バレンタインが日曜日だったから、土曜日にお邪魔させてもらうことにした。バイトを終えて20時ごろにお邪魔させてもらう。ちなつの家のインターホンを押すと、扉を開けたのは思輝くんだった。


「こんばんは。お邪魔します。あれ?ちなつは?」


「こんばんは。今、ちなつ、材料の忘れ物買いに行ってます。入って待っててくださいって。」


「そっか、わたしに言ってくれたら買ってきたのに」


 家に上がらせてもらうと、前を歩く思輝くんの濡れた髪からシャンプーの香りがかすかに漂う。香水とは違う清潔感のある香りにドキッとする。


 リビングのソファに座らせてもらう。はぁー、日向家は落ち着くなぁ…高校生の頃からいつもお邪魔させてもらって…こんな時間に来てること自体、普通じゃないのかも…って今更思い始める。


「剣さん、ご飯食べました?俺、今から食べますけど、よかったら一緒に食べますか?」


「ありがとう。ご飯食べてきたから大丈夫だよ」


 わたしは横を向き、思輝くんの顔を見て微笑んだ。思輝くんって、こんな風にサラッと優しいんだよね。彼の優しさに触れて、顔から笑みが溢れてしまう。


「俺の勘違いかもしれないんですけど…剣さん、少し疲れてますか?」


ご飯を食べ始めた思輝くんから、さりげない質問がくる。


「そんな風に見える?」


「疲れてるというより、何となく元気がない感じがして。俺の勘違いかもしれないですけど」


「うんうん…勘違いじゃないと思う。今日、ちなつとチョコレートを作るのも、そのあと話を聞いてもらってゆっくりする目的もあって集まったから」


「そうだったんですね。最近、何かあったんですか?」


「うーん…なんか、ちょっと休みたいかもって感じなんだよね」


「そっか…そんな時は休んだらいいですね。ちなつで休めるのかはわかんないですけど」


苦笑いの思輝くんに、思わずわたしもつられて笑う。


「ちなつもわたしを見て、ゆっくりしよって言ってくれたの。こんな時に、もっと頑張れじゃなくて一緒に休もうって言ってくれるのって有り難いよね」


「そうですね。寄り添ってもらうのいいですよね。…最近、頑張らないといけないことでもあったんですか?」


「今まで頑張り過ぎてたから、今はスピードを緩めようかな?って思ってるだけだよ。やっぱり、自分のタイミングとスピードで進むのがいいのかな?って」


「そんなに色々頑張ってたんですね。そんな時期もありますよね。でも、休みたいって自分の思いに気づいて、そうさせてあげてるの、いいと思います。自分を大切にできてるってことですから」


 パクっと大きなお肉を豪快に頬張る思輝くん。なぜか、この言葉がとても嬉しかった。わたし、自分のこと大切にできてるんだ…

 思輝くんの言葉が、重くなっていたわたしの心に温かい風を吹き込んでくれた。


やっぱり、優しいな…


 他の人と話していても、ここまであたたかさを感じることって、あんまりないのに…

何でだろう…思輝くんって、なにか魔法でも使ってるのかな?いやいや、そんなはずないよね。でも、3つ下の彼の言葉が、わたしの心を救ってるのは確かなことだ。

 パクパクとご飯を口に運ぶ姿は高校生男子そのものだけど、すっごく大人な一面もあって…モテて大変だろうな…想像してクスッと笑いそうになった。


「ただいまー!綺夏、お待たせ!アーモンドプードル買うの忘れてさ…しかも近くのお店になくて3件はしごしてきた〜」


「わたしに言ってくれたら買ってきたのに!」


「いや〜気づいたのがギリギリだったし、どこで買えるかわからなかったからさ。でも、買えてよかった!」


「ちなつは何を作るの?じゃあ、キッチンお借りします。」


 わたしは立ち上がり、ちなつとキッチンへ向かった。ご飯を食べる思輝くんは見えないけれど、わたしたちは二人でわちゃちゃちゃとチョコレート作りを始めた。


 正直、まささんにチョコレートを作る気持ちが乗っていなかった。でも、思輝くんと話して心が軽くなった。今日、ちなつの家でチョコレートを作ることにしてよかった。わたしは気合を入れてチョコレート作りに取り掛かった。


【潜在意識の視点から紐解く『第2-6話の答え合わせ』】


①「~すべき」からの脱却とご自愛の芽生え

相手の好みに合わせ「今の私じゃダメ」と無理を重ねていた綺夏。潜在意識では、人の基準で頑張るのをやめ「休みたい」という自分の本音を許可できた時、自分を大切にする潜在意識への上書きが始まると考えます。


②素の自分を受け止めてくれる「鏡」の存在

アドバイスで正そうとするまささんとは対照的に、思輝はありのままの疲れた綺夏を丸ごと肯定します。自分の本音(休みたい)を大切にできたからこそ、潜在意識の引き寄せの法則通り、その決断を温かく承認してくれる存在が目の前に現れました!

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