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親友の弟で姉の親友のわたしたち  作者: りなる あい
第二章:

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2-2. 祝福の陰で揺れる心

 (✳︎綺夏視点)


「ちなつー!」


 大学の食堂の入り口にちなつが友達からプレゼントをもらって盛り上がっているのが見える。


「誕生日、おめでとう」


 わたしは笑顔で抱きついた。そして、プレゼントを渡した。


「綺夏、ありがとう。開けていい?」


「うん、もちろんっ」


 結局、わたしは思輝くんとのお出かけでいい香りのアロマスティックを購入した。6本の入りのロールオンで、気分に合わせて香水気分で手軽にアロマをつけられる。


「オシャレで可愛いー!このプレゼントすっごく嬉しい。ありがとう!」


 喜んでくれて良かった。思輝くんと二人で悩んだ甲斐があった。


 すると突然、周りがざわざわと騒がしくなった。


「ねぇねぇ、あの人、有名人?」


「オーラやばくない?」


「でも、制服着てない?高校生ってこと?」


 女子大生の見つめる先には、長身のイケメンがいた。


「あれ…思輝くん?」


 圧倒的な存在感を放ちながらも、本人は涼しい顔でこちらに向かってくる。大学の校舎に、こんな堂々と高校生が入ってくることに驚きを感じた。さすが…思輝くんだ。みんなの注目を集めても、こんな平然としていられるなんて。


「ちなつ、大学まで呼び出すってなんでだよ。」

 

 少し面倒くさそうな顔で思輝くんがちなつに言うと


「思輝、明日から合宿でしょ?今日は部活がない日だからちょうどよかった〜。ありがとね」


と、ちなつはいつものように弟をパシっていた。日向家の通常運転だ…とわたしは心の中で笑った。


「自分で取りに帰れよ。」


「今日は家に帰らない予定だったからさ。あと、わたしの誕生日プレゼントを渡すのに、ちょうど良かったでしょ?」


 頼まれごとのあとに、プレゼントの紙袋を手渡していた。


「はい、お望みのプレゼント」


「ありがとう」


 ちなつが包みを開けると、そこにはおしゃれな花瓶が入っていた。


「うそ…可愛すぎる。最近お花買うようになったの知ってたの?というか、本当に思輝が選んだの?センスありすぎなんだけど」


 それを聞いて、わたしはくっと笑って思輝くんを見た。思輝くんもわたしに目配せをして、ちょうど目が合った。これ、わたしが一目惚れした花瓶だったんだよね。ちなつの好みで良かった。


「うん、これは剣さんが選んでくれた」


 あれ?秘密にするのかと思ったのに。わたしは少し首を傾げて思輝くんを見た。


「やっぱりー!ん?ってことは、一緒に買い物に行ったってこと?いつのまにー!」


「この前、付き合ってもらったんだ。」


「なるほどね〜!この前の日曜日か」


 妙に納得した表情のちなつがわたしのほうを向いた。なるほどね〜って、なんでそう思ったんだろう…その後、大学の友達がちなつを囲んでいる中、わたしは少し離れて思輝くんを手招きして呼んだ。


「今日、思輝くんに会えるかもって思って、一応持ってきてたの。まさか本当に会えると思ってなかったけど!よかった。一日早いけど、お誕生日おめでとう」


 わたしは青色の袋に包まれたプレゼントをカバンから取り出して差し出した。思輝くんは一瞬固まったあと、ゆっくりと包みを受け取った。


「まさか、俺の誕生日を覚えてると思ってなくて…ありがとうございます。めっちゃ嬉しいです。」


 いつもクールな思輝くんの嬉しそうな笑顔に、不覚にもキュンとした。


「全然高価なものじゃないんだけど…部活で使えるかなと思って」


 大事そうに包みを開ける姿も可愛い…


「うわぁ。このタオル、肌触り最高ですね。大事に使います。」


「ふわふわで気持ちいいよね。わたしもこのタオル、好きなの」


「え?剣さんも持ってるんですか…」


 なおさら驚きの顔に変わる。


「うん、このブランドのタオル、愛用してるんだ。もちろん、持ってるのは違うデザインだけどね」


「そうなんですね。俺、明日から合宿なんです。早速使いますね。」


「いや、先に洗濯しないとじゃない?合宿、頑張ってね」


ブー

ブー


 私のケータイが鳴った。チラッとみると、まささんからのメッセージだった。まささん、こまめな人だなって思って、ケータイをカバンに閉まった。


「頑張ります。ところで、剣さん、何かいいことあったんですか?」


「ん?いいこと?」


「なんか、嬉しそうだなって」


「あ、思輝くんに言おうと思ってたんだけど、最近知り合った人が結構いい人なの。どうなるかは、まだわからないけど」


「最近知り合った人?」


「そう、この前のイベントで会ってね。」


「へぇ〜。どんな感じの人なんですか?」


「大学3年生で、意識高い感じの人なの。いろんな勉強会とかセミナーに参加してるみたい。学べることも多いし、尊敬できる人だよ」


「そうですか…次はうまく行くといいですね」


 一瞬声が暗くなった気がしたけど、あまりにも一瞬すぎて、気のせいかもしれない…うまく行くといいねって、思輝くんから応援してもらえて嬉しい。次は失恋の報告にならないように、進めていきたいな。


「うん、何かあったら報告するね。じゃあ、わたし行くね。合宿頑張ってね〜」


 最後、ちなつにも声をかけて、わたしは次の授業に向かった。


「ちなつ、わたし、もう行くね!またね」


「綺夏、ありがとうね〜!」


 今日、二人にプレゼントを渡せて良かった。思輝くんのプレゼントは、ちなつのプレゼントを考えるより難しかった…だから、喜んでくれてほっとした。明日からの合宿、頑張れってわたしは心の中で応援した。



【潜在意識の視点から紐解く『第2-2話の答え合わせ』】


①潜在意識の「慣れ親しんだパターン」への安心感

ダメな恋愛から抜け出したいと願いつつも、無意識に「尊敬できる」「意識が高い」という条件(頭の思考)で男性を選んでしまう綺夏。潜在意識は「変化」を恐れ、これまでのパターンに戻ろうとする性質ホメオスタシスがあるため、条件で選ぶ恋を再現しようとしています。


②「心でときめく」と「頭で選ぶ」の不一致

思輝くんの笑顔に素直にキュンとし、無意識にお揃いのタオルを選ぶほど心は満たされているのに、エゴは「学べる人・尊敬できる人」という安全そうな条件に逃げてしまっています。条件で選ぶ恋ではなく「心が心地よいと感じる感覚」を信じることが、潜在意識から見ると、大切だと考えられています。


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