1-9. またわたし、やらかした?
(*綺夏視点)
バイト先の岡野くん、最近すっごく積極的だ…誰にでもフレンドリーで、もともと距離が近めの人だから、きっとこの人にとっては普通のことなんだろうけど…
たまに頭をポンポンされたり、仕事中にふいに手が触れることがあった。そして、この一週間で、好意を向けられていることにも気づいてしまった。
わたしは正直、この人は誰にでもしてるんだろうなって思って、流していた。仕事中にも、ちょっとプライベートに踏み込む質問が増えていた。
「剣さんって本当に可愛いよね。彼氏いないの勿体ないわ」
「そう?全然だよ〜」
岡野くんは彼氏いるの?ってあえて聞かなかった。俺もちょうど彼女いないんだよねって言われる状況を作りたくなかったから。
最初の方は、この人アリかもって思っていたのに…思輝くんとのデートが本当に楽しすぎて…わたしのハードルがかなり上がってしまったのは事実だった。それと比べると、薄っぺらく感じてしまうというか…自分でも、こんな心の変化に驚いていた。
「最近オープンしたイタリアンのお店、知ってる?あそこ、おいしいって評判みたいなんだ。もしよかったら、今度一緒に行かない?」
「うーん、そうだね…イタリアンかぁ…」
いつもなら相手に合わせて受け答えできるのに、今日はあからさますぎてしまったかも…しまった!と思った時には、もう遅かった。
「最近、剣さん、なんか反応薄いよね。前はもっと喜んでくれてたのに。女子が憧れる頭ポンポンも受け入れてたから脈ありなのかと思ってたのに。なーんだ、思わせぶりだったのか」
その言葉を聞いた瞬間、脳内の動きがすべて止まってしまった。
この人、何を言っているの…
脈あり?
思わせぶり?
わたしが何かしたってこと…?
わたし、もしかしてやらかしたのかな…心臓がバクバクして、一度に不安が押し寄せる。
緊張して手を口元にもっていったとき、ふわっとベルガモットの香りがした。その瞬間、止まっていた私の頭が動き出した。
いや、わたしは脈ありなことをしたつもりはないし、思わせぶりな態度も取ってない。むしろ、そうなることを避けてた。確かに、最初はいいかもって少し思ってたけど、今はそんな態度をとってないって言い切れる。
さっきまで、いつもの自分責めをしてしまいそうになっていた。初彼のときに何度も感じた『わたしが悪いんでしょ』という思い。
でも、ベルガモットの香りがわたしにパワーをくれたように感じた。自分が悪いんだって、状況を見ずにその場から逃れようとするのは、もうやめたい。
わたしの中にこんなにも強く明確な想いが沸き上がるなんて…
「わたし、全然そんなつもりはなかったんだけど、岡野くんはそんな風に感じてたんだね。」
とても冷静なわたしでいられたことに、びっくりだった。
「期待して損したわ。もういいや。他にも素敵な子いるし。」
岡野くんはそれからというもの、わたしとバイトのシフトが一緒になることはなかった。多分、今までの私なら、彼の言葉にいっぱい傷ついていたと思う。
思わせぶりだったのかよ
とか
期待して損したわ
とか、まるでわたしが悪いことをしてしまったかのように感じていたと思う。でも、今のわたしは違う。少しずつでも、変わることができてるのかもしれない。なんだか、素敵な恋ができそうな気がする。どんどん肌寒くなる空に反して、わたしの心はまるで軽やかに踊っているみたいだった。
【潜在意識の視点から紐解く『第1-9話の答え合わせ』】
①「自分が悪い」という被害者思考のブロック解放
これまでの綺夏は、相手の不不機嫌や失言を「私が悪いから」と引き受ける思考癖(罪悪感ブロック)がありました。しかし今回、「私は悪くない」とフラットに捉え直せたことで、長年自分を縛っていたネガティブな思考パターンを解放できました。
②自分の「好き・嫌い」を認めることが引き寄せの鍵
「思輝くんとの体験」を通して自分の本音(理想の扱い)を知ったからこそ、妥協の恋を断ち切れました。潜在意識は、不快な違和感をしっかり断ち切ることで、本当に大切な愛を引き寄せるスペースができるのです!
③罪悪感を手放すと現実が勝手に整理される
自分を責めるのをやめた途端、岡野くんがシフトから去り環境が円満に整いました。自分の心(潜在意識)がクリアになると、合わない縁は自然と離れていくという見事な現実化です!




