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親友の弟で姉の親友のわたしたち  作者: りなる あい
第一章:ベルガモットの香りと、大切にされる許可

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1-8. 俺と付き合ってくれませんか?

次は同じ場面の思輝視点です!

(*思輝視点)


「少し、時間をください。俺と付き合ってくれませんか?」


 このメッセージを打つのに、俺は数日考えた。あえて、誤解を与えるような文面を選んだ。多分、綺夏は一瞬驚くはず。それが狙いだった。親友の弟ポジションから抜けるために、これくらいしないとな。別に、騙してるわけじゃないからいいよな。


 ちなつの誕プレを買いに行くって、最高の誘い文句だよな。これ、断りずらいし。自分の計算高いところは、15歳にもなれば、いいところとして受け入れている。予定が合うかどうかが一番の心配の種だったけど、お互いに日曜日が空いていてよかった。






 俺の想いには気づかれずに、男として意識してもらえたらいいな。でも、身構えすぎず、自然体でいよう。このことだけを意図して、俺はデートへ出発した。


 待ち合わせ場所で待っていると、綺夏の姿をすぐに見つけることができた。


 今日も可愛い…露出が少なめなのもいい。他の男に見せる必要はないからな。


 一方で、俺は変にオシャレせずに、シンプルな服装で来ていた。俺も、オシャレを勉強したいな、と綺夏をみて思った。



「お待たせ~」


 少し小走りに駆け寄る姿に、いちいちキュンキュンする。


「おはようございます。今日は、ありがとうございます。」


「いえいえ。わたしもちなつのプレゼント買おうと思ってたから、ちょうどよかった。誘ってくれてありがとう。さ、行こっか」


「なんとなく、目星ついてます?」


「うん!気になってるお店がいくつかあるから、まずはそこに行きたい」


 正直、オシャレなお店とかは全く分からない。綺夏を頼って正解だった。エスカレーターに乗り、俺は後ろに回る。落ちてしまった時、下で受け止めることができるからだ。前に立つ綺夏の頭がすぐ目の前にある。いつも見下ろしている顔がすぐそこにあるのか…意識すると、急にドキドキしてきた。落ち着け、俺…手すりにつかまって、あえて違うところに視線を向けた。


「思輝くん、また身長伸びた?一段上なのに、目線が同じくらいだよね?」


 振り向いた綺夏の顔との距離がいつもより近くて、ドキドキする胸を止められない。そんな気持ちを隠すように平然を装った。


「最近身長計ってないからわからないですけど、高1の春の時点で184㎝でした。」


「え?思輝くんってそんなに身長高いの?!」


「まだ伸びてる感じはしますけど、正確にはわからないです。」


「こんなイケメンで身長も高いって…『天は二物を与えず』だね」


「まあ、否定はしません。ありがとうございます。」


「素直でよろしい」


 エレベーターから降りて歩いていると、オリジナルの香水が作れるお店に綺夏の視線が止まっていた。


「あ…香水、見たいから、ちょっと入ってもいい?」


「いいですよ」


 やっぱり、ここ、気になってたか。俺の観察が合っていたことが嬉しい。


「思輝くんのアールグレイの香りって、別名なんて言うんだったっけ?」


「ベルガモット。ここにありますよ」


 俺が使ってるベルガモットの香水を綺夏も作りたいってこと?そんな淡い期待が胸の中に広がる。


「すっごくいい匂い。これだけでもいいけど、これだけだとオリジナルの香水感がないよね」


「他に好きな香り、探したらどうです?時間はたくさんあるので」


「いいの?ありがとう。じゃあ、いろいろみてみるね」


 嬉しそうにいろんな香りを試している姿を横目で見ながら、俺も特定の香りを探す。


「気になるのありました?」


「いろんな香りをかぎすぎて、わからなくなってきた。これとか?」


 綺夏が差し出した香りはせっけんの香りだった。正直、綺夏のイメージにはピンとこなかった。


「俺、これが好きでした。」


 キンモクセイの香りを差し出すと、反応が良かった。


「あと、剣さんは瑞々しくてフレッシュなのも合うと思うんですよね。このシトラス系のどれかとか?」


 オレンジ、レモンなどのシトラス系の香りも勧めた。実は、ベルガモット、キンモクセイ、シトラスは俺の香水と一緒。綺夏はそんなこと知らないけどな。


「トップノートにベルガモットとシトラスを入れて、ミドルに金木犀を入れると素敵ですよ」


と店員さんからナイスアシストも加わった。


 この店内に入った時、もし気に入った香りを作ることができたら、プレゼントしようと思っていた。姉の誕生日プレゼント探しに付き合ってくれたお礼っていったら、受け取ってくれるよな?綺夏を素直に喜ばせたかった。


「じゃあ、その組み合わせで小瓶の方をひとつください。」


「わかりました。ボトルはどれがいいですか?」


 小さい瓶がいいのか。大きいのを買おうと思ってたけど。


「これでお願いします。」


「では、調合しますのでできたらお呼びしますね。」


 まるっこい瓶も、綺夏らしくていいな。


 待っている間、綺夏の姿をみると、小瓶がついたネックレスを真剣に眺めていた。いろいろじっくり見てるから、お会計、気づかないかも。


「これ、今お会計してもいいですか?」


「もちろんです。彼女さんにプレゼントですね」


「いつか、彼女になってほしいなって思ってます。」


 店員さんは俺の言葉に目を輝かせていた。


「素敵ですね」


 お会計も調合も終わり、おしゃれな紙袋に入った小瓶を渡す。


「はい、どうぞ」


 紙袋を渡され、一瞬戸惑いの表情を見せる。


「ありがとう。でも、あれ…お会計しなくちゃだよね?」


「俺からのプレゼントです。今日付き合ってくれたお礼で」


「え…そんな悪いよ。高校生の貴重なおこずかいを使わせちゃって…」


「俺からの感謝の気持ちなんで、もらってくれたら俺も嬉しいです。剣さんは、まず受け取る練習しましょう」


「…わかった。本当にありがとう。すっごく嬉しい。大切にするね」


 やっぱり最初は受け取り拒否したか。まあ、これもいい練習になったな。『ただ純粋に、綺夏に喜んでほしかったんだ』と想いを込めて、俺は笑顔を向けた。すると、エネルギーがふっと動いた気がした。俺の鼻がツンとして涙腺がゆるむのを感じた。目の前の綺夏が喜んでいる。俺は、大切な人を喜ばせることができたんだ。無性に嬉しかった。


 当初の目的は、俺のことを男として見てくれる瞬間を作ることだった。でも、そんなの浅はかだった。大切な人を喜ばせる。これ以上に幸せなことってあるかよ…


 今日、一緒に買い物に来れて良かった。そんな満たされた気持ちで、俺は綺夏と並んで、本来の目的であるお店に向かったのだった。


【潜在意識の視点から紐解く『第1-8話の答え合わせ』】


①思考の意図セットが現実を動かす

「男として意識してもらい、自然体で過ごす」と意識(思考)を意図してからデートに臨んだ思輝くん。潜在意識から見ると「望む未来の意図を明確にすること」は大切です。この決意が理想の展開を引き寄せています。


②「喜ばせたい」純粋な愛のエネルギー

「格好つけたい」「男として見てほしい」という下心を超えて、「ただ大切な人を喜ばせたい」と純粋に願った瞬間、双方のエネルギー(感情)が共鳴して涙が込み上げました。「与える喜び」と「受け取る許可」が重なった、潜在意識レベルでの深い愛の成就です!

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