エピソード5:酒飲みおじさんの闇鍋パーティ/ 10
本間は根性で箸を持ち上げ、引き当てた物に齧り付く。そして……嫌な音がした。嶺想寺が慌てて、部屋の電気を付ける。すると、そこには気絶している本間の姿があった。嶺想寺が慌てて救急車を呼ぶ。場は騒然としていた。本間が食べた物が、箸から落ちて転がっている。チョコレートでコーティングされた、特大ニンニク。
誰だよ、入れたの!!和茶は思わず叫んでいた。鍋がチョコレート味なのは、どうやらニンニクが原因のようだった。10分後、デッド・ハイツの前に救急車が止まった。救急隊員が現れ、手早く本間をストレッチャーで運んでいく。これは、闇鍋パーティはお開きだろう。嶺想寺は本間の付き添いで救急隊と共にいなくなってしまった。
「どうします?これ」
和茶の言葉に、誰も答えない。処分、するか。
「じゃあ、これ、俺んちで処分しますから……」
「和茶君、一応、中身のチェックしてみない?面白い物が入ってるかも」
一香は目を輝かせている。確かに、まだ誰も食べていない具はあるかもしれないが……。一香の言葉に反応したのは、高木家の長女、帆乃だった。私も見てみたいです。ちょっとツンとした言い方だったが、一香に賛同するらしい。じゃあ、もうヤバい色の闇鍋の具を出してみるか。何故か、和茶が主体になってしまったが、もういい。
自分にチョコレートニンニクが回って来なくて良かった、と、本間には申し訳ないが、心底ホッとしているのだ。本間が特殊体質ではなく、本物の幽霊になったら化けて出られそうだが。和茶は箸と大皿を持ち、闇鍋の中を漁る。まず、取れたのが、嶺想寺が食べたと思われる、アサリのような殻付きの貝だった。次に、こんにゃく。
「俺が食ったの、こんにゃくで当たりだったか」
「和茶君、何か見えてるよ?」
「え?」
一香に指摘された「何か」は、芽の出た「何か」だった。箸で鍋から引き上げてみる。……芽の出まくったジャガイモだった。芽の出たジャガイモは普通、捨てるんじゃないだろうか。食べた暁には、本間と同じで病院送りでは。誰だ、これを入れたのは。しかし、犯人が名乗り出るはずがない。真相は闇の中、か。闇鍋だけに。
──暫く闇鍋の中身を調べ、好奇心が満たされた参加者たちは各々、部屋へと帰ることになった。和茶はしっかり持ち出した。一香持参の高級肉を。




