第8話 歓迎実習
歓迎実習当日。
新入生達は学院の訓練場へ集められていた。
「本日は学院近くの森で実習を行う」
教師が説明する。
「五人一組で行動」
「危険を感じたら即座に報告」
「無理はするな」
生徒達が頷く。
リーゼ達も森へ向かった。
歩きながら自然と会話が始まる。
「リーゼさんは火属性でしたわよね?」
クラリスが聞いた。
「はい」
「わたくしもですわ」
クラリスが微笑む。
「いつか勝負したいですわね」
「負けません」
リーゼも即答した。
するとミーナが苦笑する。
「二人とも仲良くね?」
「もちろんですわ」
「当然です」
全然譲る気はなかった。
カイルが肩を竦める。
「火属性同士って大変そうだな」
「風属性の方には言われたくありませんわ」
「なんでだ?」
「なんとなくです」
「理不尽だな」
そんな会話をしながら歩く。
ゴードンは少し前を歩いていた。
大きな体で周囲を警戒している。
「ゴードンさんは頼もしいですわね」
「そうか?」
「前衛みたいです」
「よく言われる」
本人も慣れているらしい。
リーゼは頷いた。
こういう人がパーティにいると安心だ。
その時だった。
前方の草むらが揺れた。
全員が足を止める。
「モンスターか」
カイルが呟く。
教師が確認し、頷いた。
「スライムだ」
現れたのは青いスライムだった。
弱いモンスターである。
だが新入生には十分な相手だった。
教師が周囲を見る。
「誰かやるか?」
一瞬沈黙。
そして。
「リーゼ」
「はい?」
「やってみろ」
全員の視線が集まる。
「わたくしですの?」
「ファイアを覚えただろう」
確かに覚えた。
だが数回しか使っていない。
不安しかない。
「大丈夫だ」
教師は軽く言う。
全然大丈夫な気がしなかった。
しかし。
クラリスが微笑む。
「頑張ってください」
ミーナも頷く。
「応援してる」
カイルは笑った。
「失敗しても死なないだろ」
「縁起でもありませんわ!」
ゴードンも親指を立てる。
「いける」
逃げ道がなくなった。
リーゼは杖を構える。
深呼吸。
魔力を集める。
そして。
「ファイア!」
小さな火球が飛んだ。
一直線にスライムへ向かう。
命中。
ぽんっと音を立ててスライムが消えた。
一瞬の静寂。
そして。
「おお!」
ミーナが声を上げた。
「成功した!」
「素晴らしいですわ!」
クラリスも拍手する。
カイルも感心していた。
「初めてにしては上手いな」
ゴードンも頷く。
「すげえ」
リーゼは少し照れた。
だが嬉しかった。
魔法でモンスターを倒したのだ。
自分はちゃんと魔法使いへの道を歩いている。
そう思えた。
その瞬間だった。
体が光に包まれる。
「え?」
見覚えのある光。
信託の儀でも見た。
【レベルが2になりました】
リーゼの顔が明るくなる。
初レベルアップだった。
そして。
目の前に文字が浮かび上がる。
【VIT+20】
「…………」
リーゼは固まった。
もう一度見る。
【VIT+20】
変わらない。
目を擦る。
【VIT+20】
やはり変わらない。
火属性ではない。
INTでもない。
MPでもない。
VITだった。
「リーゼさん?」
クラリスが首を傾げた。
「どうしましたの?」
「いえ」
リーゼは引きつった笑顔を浮かべた。
そしてもう一度見る。
【VIT+20】
やはりVITだった。
「なんでですのーーーーーー!!」
「えっ!?」
リーゼの叫び声が森中に響き渡った。




