表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
6/35

第6話 合格発表

 王都から帰って一週間。


 リーゼは落ち着かなかった。


 朝起きても。


 昼になっても。


 夜になっても。


 気になるのは一つだけ。


「まだですか」


「まだだ」


「まだですか」


「まだだ」


「まだですか」


「まだだ」


 ガイアスが三回目で机を叩いた。


「父さんに言われても困る!」


「気になります」


「分かるが!」


 リーゼは頬杖をつく。


 合格発表の日は今日。


 だが結果を知らせる使者はまだ来ていない。


 落ち着かない。


 非常に落ち着かない。


 すると。


 店の外から声が聞こえた。


「リーゼ!」


 ルークだった。


 勢いよく店へ飛び込んでくる。


「来たぞ!」


「何がですか!?」


「結果だ!」


 リーゼは立ち上がった。


 ガイアスも立ち上がった。


 椅子が倒れた。


「落ち着けお父様」


「無理だ!」


 その時。


 店の扉が開いた。


 制服姿の使者だった。


「リーゼ・アークライト様」


「はい!」


 思わず大声が出た。


 使者は一通の封筒を差し出す。


 王立魔法学院の紋章。


 間違いない。


 結果通知だった。


「どうぞ」


「ありがとうございます!」


 受け取る。


 だが開けられない。


 怖い。


 非常に怖い。


「開けろ」


 ルークが言う。


「開けます」


「開けてないだろ」


「心の準備中です」


 深呼吸する。


 一回。


 二回。


 三回。


「長い!」


 ガイアスが叫んだ。


 リーゼは封筒を開く。


 紙を取り出す。


 そして。


 ゆっくり読む。


 数秒後。


 固まった。


「リーゼ?」


 ルークが声を掛ける。


 反応がない。


「おい」


 ガイアスが覗き込む。


 そして。


「おおおおおおおっ!!」


 叫んだ。


「合格だぁぁぁぁぁ!!」


 店が揺れた。


 リーゼは目を瞬かせる。


 もう一度見る。


【合格通知】


 確かに書いてある。


「……」


 信じられない。


 もう一度見る。


 やはり合格だった。


「受かりました」


「受かったな!」


「受かりました」


「受かったぞ!」


 ガイアスが泣いていた。


 なぜか泣いていた。


「お父様」


「よく頑張った!」


「ありがとうございます」


「王都かぁ……」


 ガイアスの顔が曇る。


「まだ早かったかもしれん」


「遅いです」


 リーゼは即答した。


 ルークが笑う。


 エレノアも微笑んでいた。


 その夜。


 アークライト家は少し豪華な夕食になった。


 祝いだからだ。


 リーゼは上機嫌だった。


 魔法学院。


 王都。


 寮生活。


 夢がどんどん近付いている。


「そういえば」


 ルークが言った。


「入学したら最初にスキルブック貰えるらしいぞ」


「スキルブック?」


「初級魔法のだ」


 リーゼの目が輝く。


「本当ですか!?」


「ああ」


「火属性もありますか!?」


「あるんじゃないか?」


 リーゼは拳を握った。


 ファイア。


 炎魔法。


 やはり火属性だ。


 格好いい。


 実に格好いい。


 大魔法使いと言えば炎である。


 異論は認めない。


「決めました」


「何を?」


 ルークが聞く。


 リーゼは自信満々に答えた。


「ファイアです」


「まだ貰ってないだろ」


「ファイアです」


「気が早いな」


「ファイアです」


 ルークは笑った。


 ガイアスは頭を抱えた。


 そしてリーゼは気付いていなかった。


 合格通知に書かれた入学案内の最後の一文に。


【新入生歓迎実習あり】


 その文字を見ても。


 特に気にしていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ