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第4話 魔法学院

 翌朝。


「リーゼぇぇぇぇ!!」


 いつもの声で目が覚めた。


「聞こえております」


 リーゼはため息を吐く。


 昨日から父はずっと落ち着かない。


 原因は当然、王都の魔法学院である。


「本当に行くのか?」


「行きます」


「危険だぞ?」


「王都です」


「男がいるぞ?」


「どこにでもおります」


 朝食の席で同じ会話を三回ほど繰り返した。


 そして四回目に入ろうとした時。


「あなた」


「はい」


 ガイアスは黙った。


 エレノアは偉大だった。


「ところで」


 エレノアがお茶を置く。


「願書は取り寄せるの?」


「願書?」


 リーゼは首を傾げた。


「入学するなら必要でしょう?」


「……確かに」


 考えていなかった。


 王都へ行くことばかり考えていたが、そもそも入学しなければ意味がない。


「よし!」


 ガイアスが立ち上がる。


「父さんが取ってくる!」


「え?」


「魔法学院の資料もだ!」


「え?」


「寮の情報も調べる!」


「え?」


「王都の治安も調べる!」


 リーゼは固まった。


 昨日まで反対していた人間とは思えない。


「お父様」


「なんだ?」


「反対では?」


「反対だ」


「ですよね」


「だが行く気なんだろ?」


 ガイアスは真剣な顔になる。


「なら調べる」


「……」


「危険なら止める」


「結局そこなんですのね」


 リーゼは呆れた。


 しかし少しだけ嬉しくもある。


 なんだかんだ言いながら応援してくれているのだ。


 昼過ぎ。


 ガイアスは大量の資料を抱えて帰ってきた。


「取ってきたぞ!」


 机の上に並べられる。


 魔法学院案内。


 寮案内。


 学科説明。


 入学要項。


 リーゼは目を輝かせた。


「これが……」


 王都最高峰の魔法学院。


 未来への第一歩。


 ページをめくる。


 火属性科。


 水属性科。


 風属性科。


 土属性科。


 どれも魅力的だった。


「素敵ですわ……」


「どれに入りたいんだ?」


 ガイアスが聞く。


 リーゼは即答した。


「火属性です」


「即答だな」


「大魔法使いですから」


 リーゼは胸を張る。


 巨大な炎。


 ドラゴン討伐。


 伝説の魔法使い。


 格好いい。


 実に格好いい。


 ページをめくる。


 そして。


 リーゼは固まった。


「……入学試験」


 そこにはしっかり書かれていた。


【筆記試験】


【魔力測定】


【実技試験】


「当たり前だろ」


 ガイアスが言った。


 リーゼは黙った。


 確かに当たり前だった。


 だが今まで考えていなかった。


「実技試験……」


 魔法で戦うのだろうか。


 少し不安になる。


 いや。


 大丈夫だ。


 自分にはX-Twentyがある。


 二十倍で成長するスキルだ。


 きっと凄い。


 たぶん凄い。


 絶対凄い。


「受かります」


「根拠は?」


 いつの間にか来ていたルークが聞いた。


「二十倍です」


「便利な言葉だな」


 ルークは呆れた。


 だがリーゼは気にしない。


 王都の魔法学院。


 大魔法使いへの第一歩。


 未来は明るい。


 たぶん。

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