第34話 課題提出
数日後。
リーゼ達は魔法学院へ来ていた。
夏休み課題の提出日である。
「終わりましたわね」
クラリスが言う。
「長かったですわ」
ミーナも頷く。
ダンジョン。
霧の森。
廃鉱山。
色々あった。
リーゼは遠い目になる。
「そうですわね」
教師が教室へ入ってくる。
「では発表を始める」
生徒達が順番に報告していく。
草原。
森。
川辺。
どれも無難な内容だった。
そして。
「次」
教師が言う。
「リーゼ班」
全員立ち上がる。
前へ出る。
クラリスが資料を広げた。
「まず王都近郊ダンジョンですわ」
教師が頷く。
「第三層まで調査しました」
教室がざわつく。
「第三層?」
「学生が?」
驚きの声が上がる。
クラリスは続ける。
「ゴブリン、毒蜘蛛、麻痺コウモリ、変異種ホーンウルフを確認しました」
さらにざわつく。
教師まで驚いていた。
「変異種までか」
「はい」
クラリスが頷く。
次はミーナ。
「霧の森では毒蛇、マンドラゴラ、睡眠花などを確認しました」
「睡眠花?」
教師が眉を上げる。
「よく調べたな」
「はい」
ミーナが頷いた。
そして。
最後は廃鉱山。
「ロックゴーレムを確認しました」
教室が静かになる。
「ロックゴーレム?」
教師が聞き返した。
「はい」
カイルが答える。
「倒しました」
沈黙。
教師は資料を見る。
リーゼ達を見る。
もう一度資料を見る。
「本当か?」
「本当ですわ」
リーゼが答えた。
教師は頭を抱えた。
そして。
「優秀だな」
全員が少し嬉しくなる。
頑張った甲斐があった。
「夏休み課題としては最高評価だ」
教室がざわつく。
クラリス達も笑顔になる。
「やりましたわ!」
「凄い!」
「頑張りましたもの」
ミーナも嬉しそうだった。
リーゼも少し誇らしかった。
その時だった。
教師が聞く。
「ところで」
「はい」
「前衛は誰だ?」
沈黙。
嫌な予感しかしなかった。
全員の視線がリーゼへ向く。
「やっぱりですの」
リーゼが呟く。
教師は納得した顔だった。
「なるほど」
何もなるほどではない。
「優秀なタンクがいるのか」
教室がざわつく。
「タンク?」
「魔法学院なのに?」
「凄くない?」
リーゼは静かに空を見上げた。
そして。
「そうですわね」
全員固まる。
教師も固まる。
クラリス達も固まる。
否定しない。
誰よりも否定してきた本人が。
否定しない。
「リーゼさん?」
クラリスが心配そうに聞く。
リーゼは小さく笑った。
「もう諦めましたわ」
教室中が静まり返る。
教師は困惑した。
「そ、そうか?」
「そうですわ」
リーゼは頷く。
教師も何と言えばいいか分からなかった。
結局。
そのまま発表は終了した。
その日。
リーゼ達の班は最高評価を獲得した。
教師からも褒められた。
クラリス達も嬉しそうだった。
「やりましたわね」
「はい!」
皆が笑う。
リーゼも少しだけ笑った。
タンクだと言われる。
防御スキルばかり覚える。
それでも。
霧の森で覚えたヒールを思い出す。
あれは間違いなく魔法だった。
誰が何と言おうと。
「リーゼさん?」
クラリスが不思議そうに見る。
リーゼは微笑んだ。
「なんでもありませんわ」
そして小さく呟く。
「わたくしは魔法使いですもの」




