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第33話 廃鉱山

 霧の森の調査を終えた翌日。


 リーゼ達は最後の課題場所へ来ていた。


 廃鉱山。


 王都西部にある放棄された鉱山だった。


「暗いですわね」


 リーゼが呟く。


「ダンジョンみたいだな」


 ルークが周囲を見回した。


 坑道は狭い。


 所々崩れている。


 あまり長居したくない場所だった。


「ゴーレムが出るんでしたわね」


 クラリスが言う。


「らしいな」


 ルークが頷く。


 リーゼは少し嫌な予感がしていた。


 岩。


 最近相性が悪い。


 いや。


 良すぎる。


 しばらく進む。


 すると。


 前方で岩が動いた。


「いましたわ!」


 ミーナが叫ぶ。


 人型の岩。


 ロックゴーレムだった。


「硬そうですわね」


 リーゼが言う。


「お前が言うな」


 ルークが即答した。


 リーゼは反論しなかった。


 もう慣れた。


「そうですわね」


 ルークが固まった。


「否定しないのか?」


「もう諦めましたわ」


 リーゼは微笑む。


 ルークは少し寂しくなった。


 以前なら絶叫していた。


 今は達観している。


「行きますわ!」


 クラリスのファイアが飛ぶ。


 ミーナのウォーターも続く。


 しかし。


 ロックゴーレムは止まらない。


「硬いな!」


 カイルが叫ぶ。


 その時だった。


 ゴーレムが腕を振り上げる。


 狙いはクラリス。


 そして。


 シュン!


「そうですわよね」


 リーゼが前へ出た。


 もはや条件反射だった。


 ドゴォン!


 岩の拳が直撃する。


 凄まじい音。


 土煙が舞う。


 全員の顔色が変わった。


「リーゼさん!」


 クラリスが叫ぶ。


 しかし。


 煙が晴れる。


 そこには。


「少し痛いですわね」


 普通に立っているリーゼがいた。


 沈黙。


 ゴーレムまで固まっていた。


「今」


 ルークが言う。


「少しって言ったか?」


「言いましたわ」


 リーゼは頷く。


「少しですもの」


 全員頭を抱えた。


 その時だった。


 ゴーレムがもう一度殴る。


 ドゴォン!


 リーゼへ命中。


「少し痛いですわ」


 また同じだった。


 ゴーレムが困惑している。


 明らかに困惑している。


「なんか可哀想になってきたな」


 ルークが呟く。


 全員頷いた。


 最終的に。


 クラリス達の魔法でゴーレムは倒された。


 静寂が戻る。


「終わりましたわね」


 リーゼが言う。


 その時だった。


 体が光る。


「あら」


 見覚えしかない光だった。


【レベルが14になりました】


 全員が見守る。


 リーゼは落ち着いていた。


【VIT+20】


「そうですわね」


 現在VIT265。


 もう誰も何も言わない。


 そして。


 次の文字が浮かぶ。


【不動を習得しました】


 沈黙。


 リーゼは説明を見る。


【不動】


吹き飛ばし効果を無効化する


 長い沈黙。


 全員がリーゼを見る。


 リーゼも全員を見る。


 昔なら叫んでいた。


 だが。


 今は違う。


「そうですの」


 静かだった。


「リーゼ?」


 クラリスが心配そうに聞く。


 リーゼは遠い目をする。


「どうせ防御ですわ」


 誰も否定できなかった。


 そして。


 坑道の奥から。


 ゴゴゴゴゴ……。


 嫌な音が聞こえる。


「なんですの?」


 リーゼが振り返る。


 次の瞬間。


 崩落。


 大量の岩が落ちてきた。


「逃げろーーー!!」


 ルークが叫ぶ。


 全員走る。


 しかし。


 リーゼだけ逃げ遅れた。


「え?」


 ドガガガガガ!!


 大量の岩が直撃する。


 土煙が舞う。


 沈黙。


「リーゼーーー!!」


 クラリスが叫ぶ。


 やがて煙が晴れる。


 そこには。


「動きませんでしたわね」


 リーゼが立っていた。


 無傷だった。


 そして足元には。


 砕けた岩の山。


 全員固まる。


 ルークが頭を抱えた。


「今の不動いらなかったよな?」


「いりませんでしたわね」


 リーゼも頷く。


 そして。


 二人同時に空を見上げた。


「そうですわね」


「そうだな」


 その日。


 リーゼとルークは少しだけ分かり合った。

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