第28話 第三層
翌日。
リーゼ達は再びダンジョンへ来ていた。
「第三層ですわ!」
リーゼはやる気満々だった。
昨日は散々だった。
タンクだの壁だの言われた。
今日は違う。
魔法使いとして活躍する。
そう決めていた。
「頑張りますわ」
「おう」
ルークが頷く。
「前衛頼む」
「魔法使いですわ!」
即座に否定した。
しかし誰も聞いていなかった。
第三層へ降りる。
第二層より薄暗い。
モンスターも少し強い。
しばらく進む。
すると。
天井から黄色い影が飛び出した。
「麻痺コウモリですわ!」
クラリスが叫ぶ。
昨日と同じモンスターだった。
「またですの!?」
リーゼは嫌な顔をする。
昨日は酷い目に遭った。
もう嫌だった。
その時。
一匹がミーナへ飛び掛かった。
「来る!」
ミーナが叫ぶ。
そして。
シュン!
「またですのーーー!!」
リーゼが飛んだ。
完全に自動だった。
ミーナの前へ移動。
ガブッ!
麻痺コウモリが噛み付く。
「痛いですわ!」
そして。
数秒待つ。
「…………」
何も起きない。
「…………」
もう少し待つ。
やはり何も起きない。
「あら?」
リーゼは首を傾げた。
「動けますわね」
ルークが固まる。
「麻痺は?」
「ありませんわ」
クラリス達も固まる。
「昨日は動けませんでしたわよね?」
「そうですわ」
リーゼも頷く。
その時だった。
目の前に文字が浮かぶ。
【状態異常耐性が発動しました】
沈黙。
「…………」
リーゼは固まった。
説明を見る。
【状態異常耐性】
状態異常を軽減する
「便利ですわね」
ぽつりと呟く。
「認めたな」
ルークが言った。
「認めてませんわ!」
リーゼは即答した。
その後。
麻痺コウモリを全滅させる。
順調だった。
その時だった。
カチッ。
「…………」
全員が止まる。
聞き覚えのある音だった。
リーゼも嫌な予感がした。
「またですの?」
次の瞬間。
天井が開いた。
大量の石が降ってくる。
「落石ですわ!」
クラリスが叫ぶ。
全員避難する。
リーゼだけ少し遅れた。
ドゴドゴドゴ!
石が直撃する。
煙が舞う。
沈黙。
「リーゼ!」
ルークが叫ぶ。
煙が晴れる。
そこには。
「痛いですわね」
頭を押さえるリーゼがいた。
しかし。
無傷だった。
「痛いのか?」
ルークが聞く。
「少しですわ」
「少しか」
ルークは遠い目になった。
普通は大怪我である。
リーゼだけ基準がおかしい。
その後も探索は続く。
そして。
第三層最奥。
少し広い空間へ出た。
「なんですの?」
リーゼが首を傾げる。
そこにいたのは。
一匹の巨大な狼だった。
普通のホーンウルフより一回り大きい。
「変異種か!」
ルークが剣を抜く。
全員の表情が引き締まる。
第三層の主。
そんな雰囲気だった。
狼は低く唸る。
そして。
一気に飛び出した。
狙いは。
当然のようにリーゼだった。
「なんでですのーーー!!」
リーゼの悲鳴が響く。
しかし。
次の瞬間。
体が光り始めた。
「あっ」
見覚えしかない光だった。
狼を倒す前から光っていた。
どうやら今までの経験値が溜まっていたらしい。
【レベルが11になりました】
全員が固まる。
リーゼは嫌な予感しかしない。
【VIT+20】
「知ってましたわ」
現在VIT205。
もう笑うしかなかった。
だが。
次の文字を見て固まる。
【堅牢がレベル2になりました】
沈黙。
「また防御ですのーーーーーー!!」
狼より大きな悲鳴が第三層へ響き渡った。




