第27話 スカウト
ダンジョンから戻った翌日。
リーゼ達は冒険者ギルドに来ていた。
依頼達成の報告である。
「第二層到達ですか」
受付嬢が驚いた顔をする。
「はい」
クラリスが頷く。
「順調ですわ」
「学生としてはかなり優秀ですね」
受付嬢は感心していた。
周囲の冒険者達もざわついている。
リーゼ達はすっかり有名人だった。
特に。
リーゼが。
「また見られておりますわ」
リーゼは嫌そうな顔をした。
「仕方ないだろ」
ルークが笑う。
「オーク倒して岩砕いたんだから」
「砕いておりませんわ」
「砕けたんだよ」
「勝手にですわ」
リーゼは納得していなかった。
その時だった。
「嬢ちゃん」
大きな男が近付いてくる。
筋骨隆々。
巨大な盾を背負っていた。
「なんですの?」
リーゼは首を傾げる。
男は真剣な顔だった。
「タンクに興味はあるか?」
沈黙。
ルークが吹き出した。
カイルも肩を震わせている。
クラリス達も顔を逸らした。
笑いを堪えているらしい。
リーゼは震えた。
「ありませんわ」
即答だった。
「そうか」
男は残念そうだった。
「才能あるんだがな」
「ありませんわ」
「優秀なタンクは貴重だ」
「魔法使いですわ」
「そうか」
男は頷く。
「魔法使いタンクか」
「違いますわーーー!!」
ギルドに悲鳴が響いた。
男は去っていく。
しかし。
終わらなかった。
今度は別の男が近付いてくる。
「お前が噂の嬢ちゃんか」
「どんな噂ですの?」
「岩を割った」
「割っておりませんわ」
「オークを受け止めた」
「受け止めておりませんわ」
「優秀なタンクらしいな」
「違いますわ!」
リーゼは頭を抱えた。
もう嫌だった。
完全に方向がおかしい。
その時だった。
受付嬢が依頼書を取り出す。
「皆さん」
「なんですの?」
「こちらの依頼はどうですか?」
ダンジョン第三層調査。
初心者向け。
報酬も悪くない。
「行きますわ!」
リーゼが即答した。
この話題を終わらせたかった。
受付嬢が笑う。
「助かります」
そして。
ぽつりと付け加えた。
「リーゼさんがいるなら安心ですね」
沈黙。
リーゼはゆっくり顔を上げた。
「受付嬢さん」
「はい」
「理由を聞いても?」
「優秀なタンクですから」
リーゼは天井を見上げた。
最近よく見る天井だった。
「誰か」
震える声で呟く。
「誰か魔法を見てくださいまし……」
ルークが肩を叩く。
「ファイア上手いぞ」
リーゼの顔が明るくなる。
「本当ですの?」
「ああ」
ルークは頷く。
そして。
「優秀なタンクにしては」
リーゼは絶叫した。
「余計ですわーーーーーー!!」




