第26話 麻痺コウモリ
岩の罠を突破した後。
リーゼ達は第二層へ到着していた。
「本当に初心者向けですの?」
リーゼが聞く。
「初心者向けだ」
ルークが答える。
「岩が転がってきましたわ」
「普通は避ける」
「そうなんですの?」
全員が頭を抱えた。
リーゼは納得していなかった。
その時だった。
天井から羽音が聞こえる。
「何かいますわ」
クラリスが杖を構える。
数匹のコウモリが飛び出してきた。
普通のコウモリではない。
体が薄い黄色だった。
「麻痺コウモリ!」
ルークが叫ぶ。
カイルも顔をしかめた。
「面倒な相手だな」
「強いんですの?」
リーゼが聞く。
「いや」
ルークが首を振る。
「麻痺が厄介なんだ」
その瞬間。
一匹が急降下した。
狙いはミーナ。
「来る!」
ミーナが叫ぶ。
そして。
リーゼの体が勝手に動いた。
「またですの!?」
シュン!
ミーナの前へ移動。
完全に慣れてきた。
嫌な意味で。
ガブッ!
麻痺コウモリが噛み付く。
「痛いですわ!」
リーゼが叫ぶ。
だが。
次の瞬間。
体が動かなくなった。
「あら?」
リーゼは首を傾げた。
首しか動かない。
腕が動かない。
足も動かない。
「あら?」
もう一回言った。
「麻痺だ!」
ルークが叫ぶ。
「麻痺ですの?」
「麻痺だ!」
リーゼは固まった。
本当に固まった。
物理的に。
「動けませんわ」
「当たり前だ!」
全員が総攻撃を開始する。
クラリスのファイア。
ミーナのウォーター。
カイルのウィンド。
ルークの剣。
ゴードンの棍棒。
あっという間に麻痺コウモリは倒された。
しかし。
リーゼだけは動けない。
「暇ですわ」
「黙ってろ」
ルークが即答した。
数分後。
ようやく麻痺が解除される。
「大変でしたわ」
リーゼは肩を回した。
「分かったか?」
ルークが聞く。
「状態異常は危険ですわね」
「そうだ」
全員頷く。
その時だった。
リーゼの体が光り始める。
「あっ」
見覚えしかない光だった。
【レベルが10になりました】
全員の視線が集まる。
リーゼは諦めた顔だった。
【VIT+20】
「知ってましたわ」
現在VIT185。
もう誰も驚かない。
そして。
さらに文字が浮かぶ。
【状態異常耐性を習得しました】
沈黙。
リーゼは固まった。
もう一度見る。
【状態異常耐性】
変わらない。
三度見る。
【状態異常耐性】
やはり変わらない。
「…………」
リーゼは天を仰いだ。
「どうした?」
ルークが聞く。
「状態異常耐性ですわ」
沈黙。
全員が顔を見合わせた。
「良かったな」
ミーナが言う。
「便利ですわね」
クラリスも言う。
「当たりだな」
カイルも頷く。
「強い」
ゴードンも頷く。
リーゼは震えていた。
「皆さん」
「なんだ?」
ルークが聞く。
「これも防御ですわよね?」
沈黙。
そして。
「防御だな」
綺麗に声が揃った。
リーゼは膝をつく。
「マジックバリアの次も防御ですのーーーーーー!!」
ダンジョンに悲鳴が響いた。
その時。
ルークがぽつりと呟く。
「もう完成しそうだな」
「何がですの?」
「最強タンク」
リーゼは全力で叫んだ。
「魔法使いですわーーーーーー!!」




