第25話 罠
マジックバリア習得からしばらく後。
リーゼ達はダンジョン探索を続けていた。
「宝箱はありませんわね」
リーゼが言う。
「そんな簡単にはないだろ」
ルークが苦笑する。
初心者向けダンジョンだ。
浅層に大したお宝はない。
それでも探索は楽しかった。
その時だった。
カチッ。
「……あら?」
リーゼが足を止める。
全員固まった。
「今」
カイルが言う。
「踏んだな」
ルークが青ざめる。
「罠だ!」
次の瞬間。
壁が開いた。
シュババババ!!
大量の矢が飛んでくる。
「リーゼさん!」
クラリスが叫ぶ。
回避は間に合わない。
矢がリーゼへ降り注ぐ。
ドドドドド!
砂煙が舞う。
沈黙。
全員の顔が青い。
「リーゼ……」
ルークが呟く。
やがて煙が晴れる。
そこには。
「痛くありませんでしたわね」
普通に立っているリーゼがいた。
全員固まった。
「え?」
ミーナが言う。
「え?」
クラリスも言う。
「え?」
ルークも言う。
リーゼは足元を見る。
矢が大量に落ちていた。
何本かは曲がっている。
「刺さっておりませんわね」
不思議そうだった。
「刺さるんだよ!」
ルークが叫ぶ。
「そうなんですの?」
リーゼは首を傾げる。
本当に知らなかった。
カイルが矢を拾う。
「鉄だぞ」
「鉄ですわね」
「刺さるぞ」
「そうなんですの?」
全員が頭を抱えた。
リーゼは少し考える。
そして。
「マジックバリアですわ!」
自信満々だった。
沈黙。
ルークが聞く。
「発動したか?」
「しておりませんわ」
「魔法攻撃か?」
「物理ですわね」
「じゃあ違うな」
即答だった。
リーゼは固まった。
「ではなんですの?」
全員がリーゼを見た。
そして。
「VIT」
綺麗に声が揃った。
リーゼは天を仰いだ。
「違いますわーーー!!」
悲鳴が響く。
その後。
探索を再開した。
そして十分ほど歩いた頃だった。
再び。
カチッ。
嫌な音がした。
「またですの?」
リーゼが言う。
次の瞬間。
ゴゴゴゴゴゴ……。
地面が揺れた。
全員の顔色が変わる。
「まさか」
ルークが振り返る。
通路の奥。
巨大な岩が転がってきていた。
「岩ですわーーー!!」
クラリスが叫ぶ。
「逃げろ!」
ルークが叫ぶ。
全員走り出す。
だが。
「え?」
リーゼだけ遅れた。
盾を抱えていたからだ。
そして。
ドゴォォォォン!!
岩が直撃した。
轟音。
土煙。
全員が止まる。
「リーゼーーー!!」
ルークが叫ぶ。
煙が晴れる。
そこには。
「重かったですわね」
普通に立っているリーゼがいた。
全員沈黙。
そして。
岩は。
真っ二つに割れていた。
沈黙。
「……岩が負けた」
カイルが呟く。
「岩が負けましたわね」
クラリスも呟く。
「岩が負けたね」
ミーナも言う。
「岩が負けたな」
ゴードンも頷く。
ルークは頭を抱えた。
「なんでだよ……」
リーゼは納得していなかった。
「わたくしも少し痛かったですわ」
全員がリーゼを見る。
そして。
「岩が可哀想だな」
ルークが言った。
「なんでですの!?」
リーゼの悲鳴がダンジョンへ響き渡った。




