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第24話 初ダンジョン

 数日後。


 リーゼ達は王都近郊のダンジョンへ来ていた。


「本当に来てしまいましたわ」


 リーゼは巨大な入口を見上げる。


 岩肌にぽっかりと空いた穴。


 中は薄暗い。


 いかにもダンジョンだった。


「楽しみですわね」


 クラリスは嬉しそうだった。


「宝箱とかあるかな」


 ミーナも笑う。


 カイルとゴードンは装備を確認していた。


 ルークは周囲を警戒している。


「浅層だけだからな」


 ルークが言う。


「無理はするなよ」


「当然ですわ」


 リーゼは頷いた。


 自分達はまだ学生だ。


 慎重に行動する必要がある。


 その時だった。


「リーゼ」


「なんですの?」


「お前が一番前な」


 ルークが言った。


 リーゼは固まった。


「なんでですの?」


「安心だから」


「嫌ですわ」


「頼む」


「嫌ですわ」


 しかし。


 結局。


 一番前を歩いていた。


「納得いきませんわ」


 ぶつぶつ文句を言いながら進む。


 そして。


 第一層へ足を踏み入れた。


 しばらく進む。


「いましたわ」


 クラリスが指差す。


 ゴブリンだった。


 二体。


「楽勝だな」


 カイルが言う。


 今のメンバーなら脅威ではない。


「ファイア!」


 リーゼが火球を放つ。


 命中。


 一体撃破。


「おお」


 ルークが感心する。


「威力上がってるな」


 リーゼは胸を張った。


「魔法使いですもの」


「そうだな」


 珍しく否定されなかった。


 少し嬉しい。


 その後も順調だった。


 ゴブリン。


 スライム。


 バット。


 浅層のモンスターを次々と倒していく。


 そして。


 少し開けた場所へ出た時だった。


 天井から何かが落ちてくる。


「上ですわ!」


 クラリスが叫んだ。


 巨大な蜘蛛だった。


「毒蜘蛛!?」


 ルークが顔をしかめる。


 初心者には少し厄介な相手だ。


 毒を持っている。


「囲まれる前に倒しますわ!」


 リーゼが杖を構えた。


 しかし。


 毒蜘蛛の方が速い。


 飛び掛かってきた。


「リーゼ!」


 ルークが叫ぶ。


 ガブッ!


 牙が腕へ突き刺さる。


「痛いですわ!」


 リーゼが叫ぶ。


 そのまま反射的に盾を振る。


 ドゴン!


 毒蜘蛛が吹き飛ぶ。


 壁へ激突した。


 沈黙。


「今盾で倒したよな?」


 ルークが聞く。


「偶然ですわ」


 リーゼは即答した。


 その時だった。


 ミーナの顔色が変わる。


「リーゼ!」


「なんですの?」


「毒です!」


 腕を指差す。


 牙の跡が紫色に変色していた。


「え?」


 リーゼは首を傾げる。


 少し気持ち悪い。


 頭がぼんやりする。


「なんだか変ですわね?」


「毒だからですわ!」


 クラリスが叫んだ。


 慌てて荷物を漁る。


「解毒薬!」


 ミーナも駆け寄る。


 リーゼはようやく理解した。


「毒ですの!?」


「そうです!」


「早く言ってくださいまし!」


「今言いましたわ!」


 全員が慌ただしく動く。


 解毒薬を飲む。


 しばらくすると気分は落ち着いた。


「助かりましたわ」


 リーゼは胸を撫で下ろした。


 ルークも安心した顔になる。


「普通に効くじゃないか」


「普通ですわ」


 リーゼは頷く。


 今の自分は普通の魔法使いなのだ。


 その時だった。


 残っていた毒蜘蛛も倒される。


 戦闘終了。


 そして。


 リーゼの体が光り始める。


「あっ」


 見覚えしかない光だった。


【レベルが9になりました】


 リーゼは遠い目になる。


 もう嫌な予感しかしない。


【VIT+20】


「知ってましたわ」


 現在VIT165。


 考えるのをやめた。


 さらに文字が浮かぶ。


【マジックバリアを習得しました】


 沈黙。


「…………」


 リーゼは固まった。


 もう一度見る。


【マジックバリアを習得しました】


 変わらない。


 三度見る。


【マジックバリアを習得しました】


 やはり変わらない。


「魔法ですわーーーーー!!」


 ダンジョンに歓声が響く。


 全員が驚いた。


「初めてですわ!」


「お、おう」


 ルークが戸惑う。


「魔法スキルですわ!」


 リーゼは飛び跳ねた。


 嬉しかった。


 本当に嬉しかった。


 初めてだった。


 挑発でもない。


 堅牢でもない。


 シールドバッシュでもない。


 かばうでもない。


 ちゃんと魔法だった。


「やりましたわ!」


 リーゼは満面の笑みだった。


 そして。


 説明を確認する。


【マジックバリア】


魔力による障壁を展開する


魔法ダメージを軽減する


 沈黙。


 リーゼの笑顔が固まる。


「…………」


 クラリスも固まる。


 ミーナも固まる。


 ルークも固まる。


 カイルが口を開いた。


「防御魔法だな」


 リーゼは天を仰いだ。


「また防御ですのーーーーーー!!」


 ダンジョン中に悲鳴が響き渡った。

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