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第20話 オーク

 ゴブリン討伐依頼の帰り道。


 リーゼ達は森を歩いていた。


「初依頼成功ですわね」


 クラリスが笑う。


「順調だな」


 カイルも頷いた。


 ルークも安心した顔をしている。


 その時だった。


 ゴードンが足を止めた。


「待て」


 全員が立ち止まる。


 前方の茂みが大きく揺れた。


 そして。


 現れた。


「オーク!?」


 ルークが叫ぶ。


 豚のような顔。


 巨大な体。


 手には大きな棍棒。


 ゴブリンとは比べ物にならない。


 初心者が相手にするモンスターではなかった。


「なんでこんな所に!?」


 ミーナの顔が青くなる。


 教師付き実習ならともかく。


 今は冒険者登録したばかりの新人だ。


「逃げるか?」


 カイルが聞く。


 だが。


 オークは既にこちらへ気付いていた。


 走る。


 一直線に。


「来ますわ!」


 クラリスがファイアを放つ。


 命中。


 しかし止まらない。


「硬い!」


 ルークが剣を抜いた。


「俺が前に出る!」


 騎士学校の生徒らしく前へ出る。


 だが。


 オークはルークを無視した。


「え?」


 ルークが固まる。


 オークはリーゼへ向かう。


 一直線に。


「なんでですの!?」


 リーゼも叫ぶ。


 知らない。


 本当に知らない。


 ヘイトアップのせいだった。


 本人だけ知らない。


 オークが棍棒を振り上げる。


「リーゼ!」


 ルークが叫ぶ。


 間に合わない。


 ドゴォン!!


 凄まじい音が響いた。


 オークの棍棒。


 それを。


 リーゼは盾で受けていた。


 土が抉れる。


 衝撃で砂が舞う。


「リーゼさん!」


 クラリスが悲鳴を上げる。


 全員が息を呑んだ。


 だが。


「…………」


 リーゼは首を傾げた。


「あら?」


 全員固まる。


 リーゼは盾を見る。


 オークを見る。


 もう一度盾を見る。


「あら?」


 もう一回言った。


「どうした!?」


 ルークが叫ぶ。


 リーゼは不思議そうな顔をした。


「意外と」


 全員が耳を傾ける。


「攻撃って軽いものなのですわね」


 沈黙。


 森が静まり返った。


「軽くねえええええ!!」


 ルークが絶叫した。


 オークの棍棒だった。


 普通なら骨が折れる。


 下手をすれば死ぬ。


 軽いわけがない。


「そうなんですの?」


 リーゼは本気で不思議そうだった。


 その間にも。


 オークが固まっている。


 目の前の人間がおかしい。


 そう思ったらしい。


「今ですわ!」


 クラリスのファイア。


 ミーナのウォーター。


 カイルのウィンド。


 ルークの斬撃。


 ゴードンの一撃。


 集中攻撃。


 オークは倒れた。


 戦闘終了。


 しかし。


 誰もオークを見ていなかった。


 全員リーゼを見ていた。


「リーゼ」


 ルークが真顔で言う。


「なんですの?」


「お前」


 嫌な予感がした。


「本当に魔法使いか?」


 リーゼは天を仰いだ。


「魔法使いですわーーーーーー!!」

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