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第19話 初依頼

 冒険者登録はあっさり終わった。


「これで皆さん冒険者です」


 受付嬢が笑顔でカードを渡してくる。


 リーゼは目を輝かせた。


「冒険者ですわ!」


 少し感動した。


 昔から憧れていたのだ。


 魔法使いとして活躍する冒険者に。


「良かったな」


 ルークが笑う。


「ええ!」


 リーゼは元気よく頷いた。


 そして。


 掲示板へ走った。


「依頼ですわ!」


 大量の依頼書が貼られている。


 薬草採取。


 荷物運び。


 護衛。


 討伐。


 見ているだけで楽しい。


「どれにする?」


 ミーナが聞く。


 リーゼは即答した。


「討伐ですわ!」


「だろうな」


 カイルが苦笑する。


 するとゴードンが一枚を指差した。


「これ」


 ゴブリン討伐。


 初心者向け依頼だった。


「ちょうど良さそうですわね」


 クラリスも頷く。


 全員賛成だった。


 依頼を受ける。


 そして王都近郊の森へ向かった。


 ルークも同行する。


「騎士学校は大丈夫ですの?」


 リーゼが聞く。


「ああ」


 ルークは頷いた。


「夏休みだからな」


 それもそうだった。


 しばらく歩く。


 すると。


「いた」


 カイルが呟く。


 前方。


 ゴブリンが二体。


「任せてくださいまし」


 リーゼが前へ出る。


 ルークが固まった。


「なんで前なんだ?」


「え?」


「魔法使いだよな?」


「そうですわ」


「後ろじゃないのか?」


 リーゼは黙った。


 その話はやめてほしかった。


「色々ありまして」


「色々?」


「色々ですわ」


 ルークは不思議そうな顔をした。


 その間にもゴブリンが走ってくる。


「来ますわ!」


 クラリスがファイアを放つ。


 一体命中。


 だがもう一体は止まらない。


 そのままリーゼへ向かう。


「なんでだ!?」


 ルークが叫ぶ。


 リーゼも知りたい。


 本当に知りたい。


 ゴブリンが棍棒を振り上げた。


「危ない!」


 ルークが飛び出そうとする。


 しかし。


 間に合わない。


 ドゴッ!


 棍棒がリーゼの頭へ直撃した。


「リーゼ!」


 ルークが叫ぶ。


 だが。


「ん?」


 リーゼは首を傾げた。


 頭を触る。


 痛くない。


 いや。


 少し痛い。


 だが。


「前より痛くありませんわね」


 沈黙。


 ルークが固まる。


「……は?」


 ゴブリンも固まる。


 その隙に。


 リーゼは盾を構えた。


 思わず。


 本当に思わず。


「シールドバッシュ!」


 ドゴォン!


 ゴブリンが吹き飛んだ。


 木へ激突する。


 そして動かなくなった。


 沈黙。


「…………」


「…………」


「…………」


 ルークがリーゼを見る。


 盾を見る。


 もう一度リーゼを見る。


「リーゼ」


「なんですの?」


「お前」


 嫌な予感がした。


「騎士学校に転校したのか?」


 リーゼは天を仰いだ。


「しておりませんわーーー!!」


 森に悲鳴が響く。


 その時だった。


 リーゼの体が光に包まれる。


「またですの?」


 見覚えしかない光だった。


【レベルが6になりました】


 全員の視線が集まる。


 リーゼは嫌な予感しかしなかった。


【VIT+20】


「ですよね」


 もう驚かない。


 少し慣れた。


 そして。


【ヘイトアップを習得しました】


 リーゼは固まった。


 三秒。


 五秒。


 十秒。


「なんですのそれ?」


 誰も答えられなかった。


 教師もいない。


 説明できる者はいない。


 ただ一人。


 ルークだけが真顔で呟いた。


「絶対前衛のスキルだろ」


「違いますわーーーーーー!!」

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