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第13話 実技試験に向けて

 翌日の実技訓練。


 リーゼは訓練場へ向かいながらため息を吐いていた。


「元気ないね」


 ミーナが言う。


「元気ですわ」


「そうは見えないな」


 カイルも苦笑する。


 当然だった。


 昨日。


 教師に前衛扱いされたのである。


 納得できるはずがない。


「わたくしは魔法使いですわ」


「そうだな」


 カイルが頷く。


「そうですわ」


 クラリスも頷く。


「そうだ」


 ゴードンも頷く。


 全員認めてくれた。


 良かった。


 本当に良かった。


「ただ」


 カイルが続ける。


 嫌な予感がした。


「前にいても違和感ないな」


「ありますわーーー!!」


 訓練場に叫び声が響いた。


 教師が近付いてくる。


「元気そうだな」


「元気ではありませんわ」


「そうか」


 全く信じていなかった。


 教師は全員を見回す。


「来月の実技試験だが」


 生徒達の表情が引き締まる。


「五人一組で受けてもらう」


「班対抗ですの?」


 クラリスが聞く。


「ああ」


 教師は頷いた。


「学院が用意したモンスターを討伐する」


 リーゼの目が輝く。


 モンスター討伐。


 つまり魔法の出番である。


「魔法使いらしい試験ですわね」


「そうだな」


 教師が頷く。


 安心した。


 本当に安心した。


「前衛」


 教師が言った。


 リーゼは嫌な予感がした。


「後衛」


 嫌な予感が強くなった。


「支援」


 非常に嫌な予感がした。


「それぞれ役割を考えておけ」


 教師は説明を続ける。


「ゴードンは前衛向きだな」


「おう」


 当然である。


「クラリスとリーゼは攻撃役」


 良かった。


 実に良かった。


 まともだった。


「ミーナは支援」


「分かりました」


「カイルは状況次第」


 全員頷く。


 リーゼも安心する。


 やはり教師も分かっているのだ。


 自分は魔法使いであると。


 その時だった。


「ただし」


 教師が続ける。


 嫌な予感しかしない。


「前衛が倒れた場合」


 教師はリーゼを見た。


「リーゼ」


「はい?」


「前へ出ろ」


 沈黙。


「なんでですの?」


「一番硬いからだ」


 即答だった。


 リーゼは固まった。


 クラリスが頷く。


「確かに」


「確かにじゃありませんわ!」


 ミーナも頷く。


「確かに」


「ミーナさん!?」


 カイルも頷く。


「確かに」


「カイルさんまで!?」


 ゴードンまで頷いた。


「俺より硬いしな」


 リーゼは天を仰いだ。


 味方がいなかった。


 本当にいなかった。


 教師は満足そうに頷く。


「よし」


「よくありませんわ」


「では訓練開始」


 完全に無視された。


 その後。


 リーゼはファイアの練習に集中した。


 火球の速度。


 威力。


 精度。


 どれも少しずつ向上している。


「見てくださいまし!」


 リーゼが放った火球が的の中心へ命中した。


 クラリスが拍手する。


「素晴らしいですわ」


「でしょう!」


 リーゼは胸を張る。


 やはり自分は魔法使いなのだ。


 すると教師が呟いた。


「硬い前衛が遠距離攻撃もできるのか」


「聞こえておりますわーーー!!」


 リーゼの悲鳴が訓練場に響いた。

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