232 図書室での発見
「あっくん、また後でね〜」
「ああ、気をつけてな」
「うん〜」
授業が終わり、掃除と帰りのホームルームが終わって先に琥珀が帰るのを見送る。不安がないといえば嘘になるが、浪川も着いてるし多少はマシか。それにしても一人で琥珀を見送る謎の喪失感と可愛い手の振り方にほっこりする気持ちで俺はまたカオスになる。つまりいつも通りというわけか。それでもやはり一人は寂しいものだ。そう思いながら図書室へと向かう。
図書室は放課後なのでそこまで生徒は多くない……と思ったが勉強している生徒がそこそこ居た。受験生だろうか。大変そうだ。そう思いながら俺も適当な本を探す。流石に田舎の中学の図書室なので蔵書数はめちゃくちゃ多いという訳ではないが、それなりには色々ある。
「ん?」
ふと本棚を見ていると奇妙な感じで置かれてる本を発見する。思わず手に取る。タイトル的に普通に昔出た自己啓発本の類だろうか。絶妙に読まれなそうなラインナップで、更には場所的にも一番下の段の隅の隅なので分かりにくい。パラパラと捲ると最後のページの所に紙が挟まっていた。メモ帳のような切れ端の小さいヤツだ。
(あちゃー、これは見ちゃダメなやつだな)
漫画でたまにある図書室での小さな恋のやり取りだろうか。メモ帳には前後が分からないが返事らしきものが書かれている。俺は見なかったことにしてそっと本を元の場所に戻す。こういうやり取りは少女漫画系で見かけるが、琥珀とやるのは中々楽しそうだ。会話した方が早かろうと手紙にはそれなりにロマンもある。とはいえ、一緒に住んでるので琥珀と手紙のやり取りはあまりした事ないな。
(いや……昔はあったか)
一時期、手紙にハマったのかやってみたいと琥珀が言い出して手紙のやり取りみたいな事もしてたっけ。とはいえ毎日会うので手渡しで手紙の交換をしてたけど琥珀は割と毎日色々書いてくれてたな。俺はまあ、途中サボって文字数少なくなったけど手紙のやり取りをしてる琥珀の楽しそうな様子に釣られてたのは間違いない。
あの頃は本当にアホなので自分の気持ちなんて分からず、琥珀の様子に何となくで接してたが、思えばあの頃から俺は琥珀に恋してたのだろうな。淡い気持ちだろうが、琥珀が気になってのは事実。それに気づかない無知でアホで度し難い程の愚かな俺は失うまで大切さに気づかない俺は本当に救いようがないが、琥珀を守るという誓いだけは違えない。必ずね。さて、そろそろいいか。時間を確認、まだ少し早そうだ。琥珀の居ない時間が虚無すぎる。仕方ない、参考書でも読んでやり過ごすか。それは思ってはいたが琥珀と離れてるせいで琥珀のことが気になりすぎてあまり頭には入ってこなかった。居なくても俺の心に居座ってる琥珀そ……天然小悪魔さんだね。そして早く琥珀に会いたい!会って抱きしめたい!そんな思いで琥珀の居ない時間をなんとか過ごしたのだった。




