230 誕生日当日
その日は朝から琥珀がめちゃくちゃ張り切っていた。可愛いなぁと思いながら何かあっただろうかと思いながら琥珀と学校に登校する。天気は比較的悪くないが流石に冷え込んできてる。手袋などの防寒着が助かるくらいにはなってきてるなぁと思いながら琥珀と手を繋いで琥珀をクラスまで送ってから俺も自分のクラスに向かう。
「暁斗、ほらよ」
教室に入ると、川藤がカバンから何を取り出して俺の机に置く。菓子パンか。
「残飯なら間に合ってるんだが」
「ちっげーよ!プレゼントだよプレゼント!分かれよ誕生日だろ!」
「ああ、そういう事ね」
誕生日と聞いてふとそういえば今日は俺の誕生日だったと思い出す。11月20日という覚えやすいようなそうでもないような絶妙なラインのそれだが、俺はすっぽりと意識の外にあった。
「お前、昔っから本当に誕生日にドライだよなー。プレゼントしがいがないぜ」
「言うて菓子パンがプレゼントって今日日聞かないけど」
むしろ去年よりもグレード下がってね?
「普通誕生日つったらプレゼントだー!って強請ったりするもんだろ?母ちゃんにめっちゃ交渉して土下座なしでゲーム機買って貰ったりとかさー」
「土下座してまでは欲しくないからなぁ」
別に誕生日を祝われるのは悪い気はしない。普通に嬉しいし、他の人の誕生日は俺もそれなりに祝う。琥珀の誕生日が今も昔も一番頑張ってたかな?まあ、それでも俺自身は自分の誕生日って何故かあまり執着みたいなものが湧かないんだよね。祝われて『そういえば今日だったな』となる感じ。
「あれだろ?『誕生日忘れてる俺カッケー!』みたいな感じ?」
「いやぁ、誕生日忘れてカッコイイか?むしろアホな子だろそれ」
「つまりお前はアホだと」
「まあな」
否定はせん。琥珀のことで特にそう思う。とはいえだ。目の前のアホには言われたくない。
「時に川藤よ。今年のお前の誕生日俺は何を渡したか覚えてるか?」
「なんかくれたっけ?」
「おいおい、覚えてないのか。プレゼントしがいのないやつだな」
まあ、俺も琥珀とのイチャイチャでこいつにプレゼント渡したかどうかさえ覚えてないが、多分渡したはず。
「とりあえず来年のプレゼントは決まったよ」
「お、いいのくれるのか?」
「ああ。川藤が大好きな脱ぎたてをな」
「脱ぎたて……ごくり」
そう生唾を飲む川藤に俺は頷いて言ってやった。
「ああ……脱ぎたてのセミのぬけがらの詰め合わせだ」
「いらねーよ!あれか!セミだけにセミヌードって事か!」
うまくねーよ、アホ。そんな訳で嬉しくないプレゼントからの誕生日スタートだった。でもお陰で琥珀が張り切ってた訳はわかった。帰ってからが楽しみだな。柄にもなく誕生日にワクワクしてる俺だった。




