227 琥珀さんは可愛い生き物
「いきなり来たいって何かと思ってたけど、なるほど確かに美味しそうなみかんね」
黒華が琥珀からの連絡を受けてからしばらくすると、琥珀が暁斗と共に黒華の家にやってきた。それも大量のみかんと共に。
「あっくんのお祖父様が作ってるのを送って貰ったんだよ」
「ああ、例の」
前に話だけは琥珀から聞いてたが随分と美味しそうなものを送られたものだと思いながら眺める。ちなみにここは黒華の部屋で暁斗は黒華の父親に用事があるとのことで琥珀を部屋まで連れてきたのだった。
「てか、結構重そうなダンボール三つもあったわよね?あれここまで運んできたの?」
「うん。あっくんが持ってくれて」
「……相変わらず、おかしなフィジカルしてるわね」
「すっごくカッコよったよ。私まで持ってくれるとか言って……えへへ」
嬉しそうに頬を両手で包み込んで照れる琥珀。暁斗が見たら内心悶死は必須のそれを黒華も自分と別の可愛い生き物なのだろうと見守る。
「その彼氏は私のお父様にご執心ね」
「むぅ、黒華ちゃんのいじわる〜」
「ごめんって。冗談よ」
「もう〜」
そう言って少しじゃれあう琥珀と黒華。実際、暁斗はどうあれ黒華の父親は暁斗を気に入ってる様子で何かと世話を焼いてると黒華は知ってる。手伝いなんかでバイトなんかも紹介してるし自分の周りに居る男としては破格すぎる待遇だが全て暁斗と黒華が互いに興味がなく琥珀が黒華の親友で暁斗と琥珀が互いに大好きすぎるからこそだろう。実際、黒華の周りに残れるのはそういう稀有な感じの者だけだと黒華も知ってる。
「そういえば、プレゼント選びに行くのは約束通りでいいんだよね?」
「うん。付き合わせてごめんね」
「いいって。今泉はどうでもいいけど、琥珀と出掛けられる機会は嫌いじゃないし」
「えへへ。ありがとう、黒華ちゃん」
「そういえば、琥珀の誕生日っていつだっけ?」
前に聞いたような気がするが、少しあやふやだったのでそう聞くと「1月だよ〜」と答える琥珀。
「そっかそっか。1月20日だったね」
覚えやすい誕生日だが、これまで人の誕生日には無関心だったのでもう少し気をつけようと思う黒華。
「黒華ちゃんは4月16日だよね」
「まあね」
「今年はお祝い出来なかったから来年頑張るね」
「期待しておく」
そう微笑む黒華。家族には祝われたことはあったけど友人に祝われたことはほとんどないので楽しみなのは本当だ。それ程誕生日に執着はないのできっと来年も祝われるまでは忘れてるとは思うが、琥珀の誕生日はきちんと忘れないように祝おうと思う黒華だった。




