224 お返しのお返し
琥珀は料理部の時や家庭科の授業で持って帰れるタイプのものを作った時などは必ず俺にプレゼントしてくれる。琥珀からの手作りというだけでめちゃくちゃ嬉しいのだが、贈られてばかりというのもいかんだろう。
とはいえ中途半端なものは渡したくない。料理スキルは琥珀にもう抜かれてそうだが、それでも好きな人には美味しいものを食べて欲しい。そう思っていたら家庭科の授業でプレゼント出来そうなレベルで形になったものがあった。これはチャンスだろうと家庭科の授業が終わってから琥珀の教室に向かった。
「琥珀」
「あ、あっくん。どうしたの?」
「これ、家庭科の授業で作ったから琥珀にと思ってね」
ラッピングは手持ちでそれっぽくしたが、もう少し色々持っとくべきだったと少し後悔。でも出来は悪くないので俺はそれを渡した。
「わぁ、マフィンだ。貰っていいの?」
「うん。琥珀に食べて欲しいんだ」
「ありがとう、あっくん」
嬉しそうに小さいカップマフィンを受け取る琥珀。
「えへへ。可愛い〜」
マフィンを眺めて嬉しそうにそう笑う琥珀。あなたのほうが可愛いですよお嬢様。おっと、お嬢さんの間違いだったか。でも俺にとって琥珀はプリンセスなので仕方ない。プリンセスってお嬢様ではなくね?という野暮なツッコミはなしだ。俺は可愛さでぐちゃぐちゃになってる思考なのでな。
「食べたいけど、もう少し眺めたいな〜。むむむ」
そう可愛く唸る琥珀。俺としてももう少し眺めてたい。この可愛い琥珀を。
「……変な薬とは入れてないわよね」
「俺が琥珀にそんな物渡すとでも?」
「そのうち入れそう。大人の薬とか」
否定はせん。が琥珀に盛るのはないだろう。そんな俺の無言の言葉を理解したのか呆れたように肩をすくめる浪川。こいつも大概だがな。
「琥珀、後で写真撮ってから食べたら?次の授業もあるし」
「そうしようかな。あっくん、それでもいい?」
「好きにしていいよ。琥珀のために作ったものだからね」
「えへへ、ありがとう」
そんな可愛い琥珀たんだが、その日の帰りに料理部で作ったとチョコシフォンケーキをくれた。また腕を上げたなぁと思いながら「お返しだよ」と微笑む琥珀たんにまたしてもやられる。お返しのお返しは勝てないわな。まあ、琥珀には負けでいいよ。大人になって夜に下克上?すれば問題なし。そんな俺の煩悩を知ってか知らずか俺の作ったマフィンの写真を見て微笑む琥珀たん。可愛すぎてまた作りたくなるが永遠に終わらなそうだなぁ。それも悪くないか。




