220 大人の味
少しイチャイチャしてたら、買ったコーヒーとコーンスープが普通に手に持てるくらいには温度が下がる。琥珀が火傷しても困るしこれくらいがいいと思いながら缶コーヒーを開けて飲む。普通のコーヒーよりも甘いけど嫌いじゃない感じ。
「美味しいね〜」
「だね」
温かい飲み物に二人でホッと息をする。吐く息が少し白くなってる。雪降ってても違和感ないくらいには冷えてきてるな。
「あっくん。今度昔行ってた駄菓子屋行ってみたい」
「あそこか。いいね」
小学校の方角にある古い駄菓子屋があるのだが、たまに琥珀と行ってたな。一応琥珀の母親もお金だけは少し置いていたようだったし、ギリギリ虐待と通報されないラインを潜り抜けてる感じが腹立つが、琥珀が今幸せならそれでいい。
「もうすぐ冬になっちゃうんだね〜」
「来年になったら二年になるね」
「一年って本当にあっという間だよね〜。あっくんと付き合ってから特にそう。毎日楽しくて、幸せで……時間がこんなに早く過ぎるなんて知らなかったよ」
そう微笑む琥珀。健気すぎて更に可愛がりたくなる。
「う〜ん、やっぱり取れないな〜」
少しイチャイチャしてから琥珀が飲み切ろうとコーンスープを少し振るけど、残りのコーンが缶に詰まって出てこないみたいだ。古いタイプに多いけど、何故かコーンが詰まって出てこないんだよね。設計の問題か缶のプルトップの限界か。
「飲む前に少し叩いておけば良かったね」
「叩くの?」
「フタを開ける前に逆さにして底を少し叩いて、それでコーンが出やすくなるってどっかで聞いたよ」
「へー、そうなんだ〜」
嘘か本当かは謎だけど、飲み切るのが早ければそれで割と飲めたのも事実なんだよな。まあ、琥珀はゆっくり飲むから多分沈殿するけど。
「あっくんのコーヒー美味しい?」
「まあまあかな。少し飲む?」
「うん」
嬉しそうに受け取る琥珀。何度チャレンジしても苦いと可愛く舌を出す結果になるのにチャレンジするのが愛おしすぎる。そっと琥珀が缶に口をつけて少し飲む。すると少しして首傾げつつ少し舌を出す。
「少し苦い……でもいつもよりは大丈夫?」
「無糖のやつじゃないからかな」
ブラックは置いてなかったんだよね。
「ほへ〜。はい、ありがとうあっくん」
「いいよ」
そう言って俺は躊躇なく琥珀が飲んだコーヒーをそのまま口をつけて飲む。琥珀は少ししてそれを見て首をちょっと傾げてから気づいたのか頬を赤くして俯く。ふふふ、甘いね琥珀たん。間接キスに気がつかないとは。そんな隙だらけなところも大好きだが、俺以外に見せないように頑張るとしよう。そんな素敵な寄り道でした。コーヒーは大人の味だね。琥珀との間接キスは更に美味しく感じたよ。愛って不思議。




