219 寄り道
治ったとは思うが、その日は念の為部活には出ずに早めに二人で帰ることにした。いつもよりも少し早い時間の帰宅だが、段々と日が沈む時間が早まってきてるなぁ。冬だもんなぁ。
「寒くなってきたね〜」
「そうだね」
「えへへ」
そう言って琥珀から手を繋いでくる。珍しいな。
「ダメかな?」
「いいに決まってるよ」
「えへへ、ありがとう、あっくん」
手を繋ぐだけで凄く嬉しそうな琥珀たん。休み明けだけど大丈夫そうで良かった。
「あ、見て見て」
イチャイチャしながら帰っていると変な場所からカップルが出てきた。手には缶コーヒーを持っていた。そういえばここって確か。
「少しだけ寄り道しようか」
「うん!」
嬉しそうな琥珀と共にそのカップルが出てきた場所に入っていく。住宅街の少し裏の場所。それは置いてあった。
「そういえばここに自販機あったね」
「温かいのももう置いてあるね〜」
コーヒーにコーンスープ、お茶とあたかーい飲みが置いてある。下には冷たいのもあるが温かいものが恋しい季節だしね。
「何か飲む?」
「買い食いになっちゃうよ〜」
「大丈夫だよ。ここ割とバレない場所らしいから」
不思議とここら辺は教師の見守りもない。そもそも田舎の教師だろうと教師は人手不足だから大変だろう。
「琥珀はコーンスープでいい?」
「うん、ありがとう」
そう言ってお金を入れてどうぞと琥珀に促す。すると、琥珀はゆっくりとコーンスープのボタンを押す……瞬間に合わせて俺も一緒に同じボタンを押した。
「あ……もう、あっくんてば」
「ごめんごめん。こういうのして欲しいかなぁって思ってさ」
子供みたいな悪戯だが、昔の俺がたまにやってたやつをやると琥珀は嬉しそうに微笑む。
「次は私ね」
「おう」
お金を入れて俺がコーヒーのボタンを押す……瞬間に琥珀が同じボタンを同時に押す。ガタンとコーヒーが出てくる。自販機って凄いよね。商品入ってても一つなら当たらないように出てくる。
「えへへ。なんか懐かしいね」
「だね。昔はこれ一緒に練習してたね」
そんな歳でもないが、お茶目心を大切にしたいという気持ちもある今日この頃。カッコイイ暁斗くんとしては少しあれかもだが、琥珀にあれだけ言ったんだ。俺も少しはダメなところも見せておかないとね。
「あっくん。私ね、昔のあっくんも今のあっくんも大好きだよ」
「俺も大好きだよ。今も昔も琥珀のこと」
「……えへへ」
嬉しそうにくっついてくる琥珀に俺もついついイチャイチャしちゃう。少し時間が早いから寄り道もいいよね。たまにはね。




