218 探り下手
「暁斗、なんか欲しいもんある?」
琥珀が元気になって、二人で登校してきて教室まで琥珀を送ってから自分のクラスの教室に行くと、朝からアホな友人が変なことを聞いてきた。
「どんな手を使っても俺を買収は無理だぞ。大方女子更衣室に侵入したのがバレそうだから俺に助けを求めたいってところか」
「違うっての!大体バレないようにやるし!」
すんなって言ってんだよ、ドアホ。
「んで?」
「あれだよ。この前の借りもあるしな」
「あー、文化祭で間違えて女子トイレに入ったのを冤罪証明した件な」
「ちょ、俺の記憶にない事件なんだけど!?」
「あの時の川藤はカッコよかったよ。『それでも僕は入ってない(キリッ)』だったか。抱腹絶倒だね」
「それめちゃくちゃバカにしてるだろ!ってかやめて!また女子の目が白くなる!」
つまりいつも通りと。
「まあ、何を聞きたいのか知らんが欲しいもんなら既に手に入れてるしな」
「ん?なんか買ったのか?」
「こっちのこと」
こうして琥珀と過ごせてる時間。琥珀を幸せに出来る機械があるだけで俺にとっては余りある幸せだ。
「それにしても二日も休んだクラスメイトに心配すらなしか」
「桐生関係だろ?よく分からんがお前が風邪ひいて休むとかないわー」
お前にだけは言われたくないよ。
「面倒だし安いもんでいいか?」
「よく分からないけど、本当にそれでいいのか?」
「な、何がだよ?」
「こういう時こそ親しい友には良くしておくもんだぞ」
「お前俺に良くしたことある?」
ないな。
「強いていえば宿題見せたり、キラカード譲ったり、冤罪証明したりとか?」
「最後の知らんのだが!?」
「辛い記憶は忘れたいもんな」
分かるぞ。だが目をそらすな。
「いや、マジでそれを正史にすんなって!せっかく野球部の試合で名前呼んでくれるくらいまでには回復してきた俺の……!俺の信頼がまた崩れる……!」
そういえば前に試合見た時にチアにスルーされてたな。何をしたらそんな真似されるのか皆目見当もつかないが。しかしチアか。琥珀のチアリーダー姿は割とありだな。大人になったら頼んでみるか。今頼むのは風邪明けだし、琥珀とニャンニャンできるようになってから考えるとしてだ。
「そういけば今日じゃなかったか?家庭科のプリントの提出期限」
「げっ!そうだった!まだ書いてねぇ!」
二週間も猶予あって、授業中も機会はあったのによくスルーできてたものだ。
「暁斗見せてくれ!頼む!」
「同じだと気づかれるぞ」
答え丸写しだとダメなやつだし。
「出しゃいいんだよ!」
そんな勝てばいいみたいなこと言うとは。
「はいはい」
適当に返事して朝のホームルームの開始を待つ。琥珀に早く会いたいなぁ。




