215 幼馴染だからこそ
もう一眠りして目覚めたのは夕飯の時間を大幅にすぎた頃だった。食欲はあるようなので着替えてから俺の作ったお粥を食べさせる。
「あっくん、すごく美味しいよ」
「なら良かったよ」
作り方なんて意外と覚えてるものだと思いながら小さい琥珀のペースに合わせてゆっくり冷まして食べさせる。
「あっくん。前に看病してくれた時のこと覚えててくれたんだね」
食べ終わって、片付けてくるとそんな事を言う琥珀。
「当たり前だよ。俺が琥珀とのこと忘れるとでも?」
「うんうん。思わない」
そう笑う琥珀。昔も状況は違えど似たようなことはあった。
あれは俺らが小学生の時だったか。一年生くらいの時に琥珀が学校で熱を出して倒れた。連絡しても琥珀の親は来れないらしく、困っていたのでうちの母親に来て貰って琥珀を家まで送ったのだが、琥珀の親がうちの親に『何とか帰れるので看病は大丈夫』と伝えていたらしい。俺はそれを知らずに琥珀が心配で家に上がった。
母親が気を使ったのだろう、スポドリや桃のゼリーが置いてあったが、肝心の琥珀の親は帰ってなかった。後から聞いたが琥珀の母親はこの時男の元に居たらしい。しかもそれなりに遠い県の。すぐに戻って看病出来る距離ではないのだが、それだけ無関心だったのだろう。家に入って、琥珀の部屋に行くと布団に入って熱でうなされて泣いてる琥珀を発見した。俺はとっさに琥珀の手を握ってた。
『あっくん……?』
ぼんやりとした琥珀がうっすらと目を開けて俺を見てから何かをこらえるようにひっくひっくと泣きようになるが、すぐになんでもないように笑って『だいじょうぶ』と呟いた。でもそれでも我慢できなくて『ごめんね』と呟く琥珀に……俺は手を握って笑って言った。
『だいじょうぶ!こはくが寝るまで、てにぎってやるから、ゆっくりやすめよ。おれはこはくの元気なかおみたいんだ!』
子供ながらに琥珀が熱で苦しいのと、一人で寂しくて泣いてたのだと理解してたのかもしれない。琥珀は『いいの?』とポロポロと涙を零して聞いてきた。俺は『大丈夫!』と答えてそばに居た。まあ、子供だから途中で寝ちゃって、心配した父さんと母さんが迎えに来た時に発見されたんだけど、その時から琥珀が不安な時は手を握ってやるのが効くと俺は知っていた。思えば本当に琥珀は大変な思いをしてきたのだろう。それを近くで見ながら何も出来てなかった。他人の家庭にズカズカと入れ込めないと言われたらそれまでだが、一番近くで出来ることもしてなかったと考えると自分の無能さに吐き気さえしてくる。でも、あの時のことを琥珀は嬉しそうに話すんだ。守ってやりたいよ、今度こそ。




