213 風邪
「ん?」
新聞配達のバイトから帰ってきて、シャワーを浴びてもう一度ベッドに潜ろうとした時に琥珀を見て違和感を感じる。気のせいでは……ないな。そっと額に手を当てるとかなり熱い。
「ん……あっくん……?おはよう……」
「ごめんね、喉乾いてね。起こしちゃった?」
「大丈夫……そろそろ朝ごはんの準備を……」
「いいよ、今日は。体ダルいでしょ?」
「そうかな……?でもだいじょうぶ……」
「じゃあ、熱計ってなかったら行っていいよ」
そう言って体温計を取ってくると、琥珀に渡す。流石に俺がパジャマ捲って脇に刺すのは恥ずかしいだろうし、琥珀も少しなら動けるだろうから。ごそごそと後ろで本来なら胸ドキな展開が起きてるが、今の俺は心配が勝っておりゆっくり目を閉じて待つ。しばらくして、体温計の測定が終わった音が聞こえて、琥珀は確認してからそっと隠した。
「琥珀、見せて」
「だいじょうぶ……」
「ダーメ」
そう言って、ピトッと琥珀の額に俺の額を当てる。手でも分かってたけどかなり熱い。
「ちゅめたくて……きもちいい……」
「やっぱり熱あるね」
そう言って隠した体温計を取り出すと、ディスプレイには38.2℃と表示されていた。
「今日は休もうか」
「でも……」
「大丈夫。俺も休むよ」
母さんに病院に連れてってもらうべきか。琥珀の家庭事情を考えると少し複雑だが万が一もある。そう考えているとふとメールが来てることに気づく。母さんからだ。『昨日話した通り、朝と夜は琥珀ちゃんと仲良く食べてね〜♪』とのこと。そういえば、今日は父さん出張で母さんも朝早くから出るとか聞いてたな。今から連絡したら戻ってくるかもだが、琥珀の状況的に薬飲んで休んでれば治るとは思う。でも他の病気を併発してたらという心配もある。とりあえず外に出て母さんに電話をしてみる。繋がるかな。あ、繋がった。
「母さん、今どこ?」
『沖縄〜』
何故に沖縄、ダメだな。
『どうかしたの〜?』
「ちょっとね。琥珀が体調悪そうなんだ」
『あら?風邪かしら?最近流行ってるものね〜』
「すぐに戻れそう?」
『すぐは無理ね〜。風邪ならいいけどどんな感じ?』
琥珀の状況を伝えると、母さんは『風邪ね〜』と俺と同じ結論を出す。
『なるべく早く帰るけど、琥珀ちゃんのことちゃんと診てるのよ〜』
「分かってるよ」
学校に休む連絡も必要か。色々用意しておく必要もあるな。そう思ってとりあえずはいつも風邪の時に飲んでる薬の状況確認。食料もだな。琥珀が安心して休めるようにしないとね。あとは琥珀の負担にならないようにしつつ、なるべく傍で看病だな。やれる事からやるとしよう。




