209 親友は乙女
暁斗が川藤に寿司を奢らせてる頃、寿司屋の少し近くを通って琥珀たちは目立たない雑貨屋さんに向かった。前に暁斗と来て色々あったのを思い出して黒華を誘ったのだが、少し迷ってからなんとかたどり着く。
「あっててよかった〜」
「前は今泉が連れてきたんだっけ?」
「うん!あっくんと歩き回って見つけたんだよ」
かなり路地よりなので分かりにくい場所だが、確かに色々と商品が並んでいた。可愛い小物も多くて黒華としても悪い気はしない。
「そういえばさっきの道なんか途中で変な顔してたけどあれなんなの?」
「えっとね……笑わない?」
「普通に迷ったたげじゃないでしょ。笑わないわよ」
そう言うと琥珀はポツリと言った。
「その……なんかあっくんが近くにいる気がしてつい……」
その言葉に黒華は思わず窓の外を見る。
(今日も付けてきたりは……してないわね)
黒華とそのバックをある程度信じたのか、最初の頃よりは琥珀を任せてきてるのでそれはないだろうと思うが、自分も用事と言って琥珀達が居る場所を人知れず徘徊してるのは何となく暁斗の行動に当てはまると黒華は思った。
「琥珀も大変ね」
「なにが?」
「なんでもないわ」
むしろお似合いなのかもしれないとさえ思うようなはなってきた。琥珀はこうして接してると優しくて良い子なのだが、世間一般とズレも少しある気が黒華はした。
(人の事は言えないんだけどね)
自分もまたそれに含まれるが、感情や感性については凡そ一般的な感覚も分からなくはない。だが、琥珀はその辺が少しふんわりと言うか幼いというか……そう育ちきるまえに固定というか抑制されて、本人の性質もあってこうなってる感じの気もした。良い意味でも悪い意味でも幼少期の人格構成は大人になって響いてくる。中学生はまだ立て直せるだろうが琥珀の性質を思うと無理に変えるのは悪手なのだろう。本人も暁斗もそれを望まないだろうし。
琥珀の家庭事情について、黒華は父親に軽くは聞いてる。琥珀からも少し聞いており自分とは別の方向で大変だったのはよく分かる。暁斗の存在がなければそれこそ本当に壊れてたかもしれないくらいに琥珀は脆くて優しすぎた。
「あ、黒華ちゃん。これあっくんに似合いそう」
そう言って琥珀が手にしたのは少し可愛めのリストバンド。
「あっくん、テニスで使うかもだし買おうかな?」
そう言って暁斗を思って色々考える琥珀の顔は……黒華からみて誰よりも乙女だった。
「本当に琥珀は今泉のこと好きよね」
「それはそうだよ……私の大好きな彼氏……だから……はぅ……」
「ええ、そうね」
そんな可愛い親友を見ながらあの腹黒が嫉妬しそうなくらい琥珀と仲良く小物を選ぶ黒華もまた、暁斗同様に誰よりも琥珀に染まっていたのかもしれないが、本人としてはそれも悪くない。初めてできた親友なのだからそれもいいだろうと。




