208 アホだけど憎めないやつ
「ていうか、今日土曜日だけど部活いいの?」
川藤から奪ったエビを食べて熱いお茶を飲んでからそういえばと聞くと、川藤は恨めしそうに残ったエビを見ながら答えた。
「今日はサッカー部に取られてないんだと。なんか練習試合だからこっちの面も貸すらしい」
「ほー」
まあ、グラウンド競技はそんなものよね。他の競技との兼ね合いもあるし、仕方ないのか。
「つうか、マジで暁斗運いいな」
「川藤がマイナスなだけだったんだよ」
あれは誰が引いてもああなってた。川藤がアーケード機に嫌われてたとしか思えないレベル。
「つうか今日は彼女はどうしたんだ?ようやく別れたか?」
「そんな訳ないでしょ」
「ちょ、わさびはやめて!たんまたんま!」
うるさい。最悪なこと言いやがって。
「お、ポテトあるんだ。頼もうかなー」
「ていうか、俺を呼んだのマジであれだけ?」
「そうだけど?」
何か問題でも?的な顔はやめろ。めちゃくちゃ腹たつ。
「いいじゃんか。たまにはよー」
「まあ遊びに付き合うのは100歩譲ってよしとしよう」
「だろ?」
「金借りたいがために呼び出したのは許さん」
「いいだろ?たまにはよー」
それで通そうとするなっての。はぁ、全く。そんなアホに呆れていると、俺琥珀レーダーに反応が。窓の外を見ると遠くに琥珀と……ついでに一緒に遊んでる浪川の姿が。
「お、噂をすれば彼女さんじゃん。あとは……あのキツそうな浪川か」
お前もこの距離で気づくとはな。目だけはいいんだよなぁ。腐ってるけど。
「桐生がお前以外と遊んでるのマジでレアじゃね?」
「そうか?」
「なんか一人かお前とのイメージ強い」
本当に琥珀には悪いことしてるよな。もっと愛でて幸せにしないと。
「二年になったらお前と桐生、同じクラスになるといいな」
ふとそんな事を言う川藤。これはおべっかとかいつもの軽口ではなく普通に思ってることだろう。こういうやつだから憎めないんだよな。アホだけど。
「まあそうなるように祈ってるよ」
本当は手を回すのでそうなるの間違いだが、非力な俺としての答えはこれだろう。
「後ろからお前の怨嗟の声が聞こえる度に俺の寿命が縮むんだよなぁ」
そんな声だしてないっての。まあ、確かに似たようなことは考えたことはあるかもだけど。
「お、ポテトきたな!」
流れてきたポテトを取って嬉しそうに食べる川藤。つうか金あるのだろうか?貸さんぞ絶対。友情って割とお金であっさり崩れるもんだし、こいつは貸したらダメになるやつだしな。案の定会計の時に手持ちギリギリだったのか悲鳴をあげる川藤を尻目に俺はお土産のぬいぐるみを持ってホクホクと帰宅して琥珀にぬいぐるみを渡す。琥珀の嬉しそうな顔で俺まで幸せになるから琥珀たん凄すぎ!そして可愛すぎです!




