207 テクニカル暁斗
琥珀が浪川と遊びに行ってるので俺は俺で外に出て少し用事を済ましていると、川藤から電話がかかってきた。一回目はスルー。そのまま参考書選びをしていると何度も細かくかけてきやがった。流石にうざいので外に出て電話をとる。
「なに?」
『いや、一回で出ろよ!』
「やだよ」
お前は俺の上司か。そんなぽんぽん電話なんてしたくないっての。琥珀は別だけど。
「んで?要件は?」
『そうだった!今外か!?』
「まあね」
『ならいつものゲーセン来てくれ!頼む!』
そう念押しして電話を切る川藤。無視してもいいけど、確か今日は琥珀が気にしてた人形が入荷する予定だったな。ついでに行くとしよう。そう思い川藤の待つゲーセンに行く。田舎にしてはそこそこ大きめのそこは休日なのでそれなりに人がいる。
(琥珀と来たかったなぁ)
そう思いながらクレーンゲームを眺めてゆっくらと川藤の元に向かう。その途中で目当ての人形を見つけた。よく分からない題材のそれは猫のようなぬこ様のような或いはそれらを混ぜたような何とも言えない感じの可愛さのやつで琥珀は割と好きなのかもしれない。そう思いながら財布を取り出して百円入れる。アームよし、確率機の可能性……大丈夫。確認してから一度で商品を掴むと商品をゲット。店員さんに袋を貰ってホクホク顔で琥珀へのお土産を持って店を出ようと――
「いや、帰るなって!てか来てるんなら素直に来いよ!」
――して、川藤の声がうるさいゲーセンの中でもよく響いてきて仕方なく川藤の元に行く。
「んで?要件は?」
「これだよこれ!」
そう言って川藤が興奮してるのは……あぁ、野球をモチーフにしたカードゲームのやつか。100円入れるとカードが出てきて、カードを集めて最強のチームを作るってやつね。この時期にそういえば出たんだったか。
「これはやるっきゃねぇだろ!」
「んで?結果?」
そう聞くと見せてきたカードは……被りありでサポートが10枚に選手カードが三枚。しかも選手カードは全員三塁か。
「ピッチャー、クビおめでとう」
「いやいやまだ始まってないから!俺の野球人生!」
「そうはいってもこれマジでどうしたらこんな悲惨なことになるん?」
カードの種類はそれなりにあるし、サポートは何故か半分近くダブってるし、選手カードは三枚とも同じポジション。日頃の行いが返ってきたにしても流石にこれは巨体側の問題な気がしてくるレベルだ。
「俺は諦めねぇ!そんな訳で金貸して♪」
「金属バットなら貸すよ、頭に」
「ムカついたんか!?言い方が腹たったのかブラザー……否、ブラジャーよ!?」
普通逆だろ。つうかそんな要件で呼ぶなと言いながら金は貸さずにお釣りの百円玉で数回トライする。うん、バラバラだよな。つうか川藤の不運でいいの出てきてるし。
「昼まだなんだよね。寿司三皿で交換するよ」
「くっ……二皿で頼む!」
そんな駆け引きの後に回転寿司の100円皿、二皿と川藤の取ったえび一つで手を打つ。寿司もいいね。




