206 親友の変なところ
テストが終わり、本日は琥珀と黒華は遊びに出かけていた。これまで黒華はあまり人付き合いをしてこなかった。家の事情もあるが本人の気質ゆえのものもある。誰かに合わせるのは面倒だし、そんな手間はかけたくないというのもあった。だが、不思議と琥珀との時間は苦ではなかった。
「あ、黒華ちゃん。これオススメだって」
「へー。美味しそうね」
午前中に色んな店を回ってから、お昼になってファミレスに寄る。黒華としてはお金の問題はそんなにないが、琥珀はこうした外食でも遠慮しやすい。暁斗はその辺を分かった上で色々琥珀と分け合って頼んだり、彼氏として支払いしてるらしいが黒華はその辺はそれ程気を使わず寄りたいところに寄る。価格帯が安い方を選ぶのは本人曰く「こういうのたまに食べたくなるのよね」とのこと。琥珀への無意識な気遣いかはたまた本心かは本人のみぞ知るところ。
「迷うね〜」
「私はもう決めたよ」
「黒華ちゃんは何頼むの?」
「ドリアよ」
「じゃあ、私はクリームパスタにしようかな〜」
琥珀は少食気味なので、食べ切れるか悩んでからそう注文する。黒華は何となくの気分でドリアにした。少しして注文したものが届くと、一緒にいただきますをして食べる。黒華は食事前のマナーは身についてる方だとは思うが、律儀に声に出して手を合わせる琥珀に合わせるようになったのは自然だろう。
(げっ……)
大丈夫だろうと思ってアツアツなドリアをスプーンで掬うと断面に少しだか黒華の苦手なものが。きのこだ。黒華はきのこが少し苦手だった。食感や色形が無理とかではなく昔父親に敵対する相手のスパイに毒入りを食べさせれそうになったことで苦手意識が出たのだが、それは黒華しか知らない。
「黒華ちゃん、少し交換しない?」
黒華がきのこに躊躇していると、琥珀がそんな事を言い出す。
「いいの?」
「うん。やっぱり全部は食べ切れるか分からないし黒華ちゃんと分けて食べたいなぁ」
「……仕方ないわね」
琥珀はきのこの多そうな場所を片付けてくれる。それは黒華がなんとなくきのこを見て嫌な顔をしたような気がしたのでそうしただけだが、結果として黒華は悪くない昼になった。
「琥珀ってたまに私が何も言ってないのに私の嫌いなもの当てるよね」
デザートの秋限定のファミレスメニューのモンブランを食べつつそう言うと、琥珀は「なんとなく黒華ちゃん嫌な顔してた気がして〜」と微笑む琥珀。直感とやらをあまり黒華は信じてないが琥珀には人にはあまりない不思議な直感みたいものがある気がした。
「琥珀って少し変」
「そうかな?」
「うん。でも嫌いじゃないよ」
そう言うと琥珀は嬉しそうに微笑んでケーキを食べる。甘いものは別腹なのだ。




