202 掃除の達人
テストが終わり琥珀のクラスは掃除をしてからホームルームをして下校となる。掃除の時間は比較的適当にやる生徒もいるが、琥珀はその中で真面目にやっていた。
「……琥珀。なんか楽しそうね」
「そうかな?でも掃除は好きだよ〜」
丁寧に箒でゴミを取り、雑巾をかけて、窓や机を磨く。黒板も忘れてない。流れるような手つきに黒華も少しやる気を出す。
「ふぅ……机は重いね〜」
とはいえ、机の移動は流石に琥珀の腕力では結構辛い。人によっては教科書でギチギチだったりするので持ち上げるのもやっとな感じだ。
(男子は……やっぱりサボってるか)
掃除の時間、特に教室はサボる生徒が出やすい。席によって場所が決まってるが、この前席替えをして今の席になってから簡単な仕事以外をサボる生徒が居たりするので黒華は思わず呆れてしまう。
「琥珀。大丈夫?」
比較的協力的な女子と一部の男子で何とかしていると、タイミングよく他クラスの暁斗がやってきた。
「あっくん?クラスは大丈夫なの?」
「俺の方は終わったよ。琥珀は今日教室って聞いてたから手伝おうと思ってね」
そう微笑んでから一気に机を運ぶ暁斗。ひょいひょい持ち上げるだけでなく引き摺ることもホコリを立てることもなく全てを運んでみせる。
「「おおー!」」
その様に他の生徒が思わず拍手をする。確かに見事ではある。だが黒華はサボってる男子に向けるよりもなお呆れた視線を暁斗に向けていた。
(絶対、タイミング狙ってきたでしょ)
そもそも他クラスの掃除の割り当ては少し前に席替えがあったのでまだ分かりやすい表などはない。明らかに色々分かった上で狙ったタイミングで来てると黒華は気づく。とはいえ、恐らく向こうもサボって来てるのではないのだろう。
(あの腹黒。変に効率いいし人使えるから本当に厄介ね)
あくまでも自分のクラスの割り当てが終わってて、空いた時間で手伝いに来たという感じなのだろうと思いながら、琥珀とイチャイチャしながら掃除を続ける暁斗。
「黒華ちゃん黒華ちゃん」
ゴミ出しに向かった暁斗を見送ってから、窓拭きと机拭きを完璧に終えて琥珀は黒華に話しかけた。
「あっくん、すっごく……カッコイイよね」
「……そうね」
恋は盲目と親友の無垢さにらしくなくそう肯定する黒華だが、あの腹黒は琥珀にとって最高の彼氏なのは間違いない。
(私はごめんだけど)
黒華的には暁斗と同じく互いはNGだが、琥珀と男を取り合うなどしたくないのでむしろ好都合だと思うことにする。琥珀に敵対しなければ害もないからというのもあるが。更に暁斗はサボってる生徒に何か働きかけたらしく、少しづつではあるが、その後掃除の時間のサボりが減っていくのだが、きっと琥珀のためにやってるのだろうと黒華はスルーする。巻き込まれたくないというのもあるが。




