197 ステージ発表午前
ステージ発表は二、三年が中心のものなのだが、中学の文化祭で出来ることはそれ程多くないのだろう。吹奏楽の演奏が午後にあるくらいでバンドなどもなし。基本的に踊り系とか自主映画的なもの、または出来てる市販品が流れてお茶を濁したクラスもあった。
「なぁなぁ。さっきの三年のダンス見たか?めちゃくちゃ揺れてたな!」
小声でエキサイトするのは友人の川藤。何故か隣に座ってるが恨めしきは名前順とかいう並び方か。アホが隣だと琥珀のこと考えて暇つぶしもできない。
「ああ、見てた。三年の彼氏らしき先輩が盛り上がるお前を殺しそうな目で見てたよ」
「マジで!?どこどこ?」
「ほら。あそこの先輩」
指を指すと、今もこちらを睨んでいる三年の先輩の姿が。
「ひぃー!」
「川藤、うるさいぞ」
「あべ!」
ガタンと立ち上がった川藤を近くで見張ってたらしい担任が叩いて座らせる。舌噛んだな。
「うぅ……よりよって同じ野球部の先輩かよ……」
「これから部内で大変そうだな」
「いや、先輩はもう引退してるから大丈夫だ!」
……多分。と小声がつく。まあ、大会も終わってるし受験シーズンだもんな。流石に部活は夏くらいで概ね三年は引退か。三年か……
「川藤の寿命はあといくら残ってるのか」
「不吉なこと言うなよ!俺は生き延びるぜ!」
真っ先にデスゲームで脱落するタイプだろうに。
「しっかし、あの先輩前はもっと色気ない先輩と付き合ってたような気するんだけどなぁ」
「そうなん?」
「いや、パッとだけど違う人な気がする。そもそもあんなに巨乳じゃなくて、二年でもっとおどろおどろしい感じの……」
「あれとか?」
思わず琥珀のクラス……というか、浪川を見てそうなヤバそうな空気の二年の女子に視線を向けると、川藤はかなり遠いのに見えたのか「あれだあれ!」と頷く。
「そうそうあの人だよ。別れてあんな巨乳に移るとは……先輩も男だねぇ」
「誰よりも男エンジョイしてるやつには言われたくないだろ」
「エンジョイしてたら女遊びでウハウハしてるっての」
それはただのクズだから。
「つうか、暁斗よく分かったな。最初俺どれか分からなかったぞ」
「いやぁ、まぁねぇ」
無意識に琥珀の元に意識が行くのはいつもなんだけど、今日は琥珀……というか浪川を見てる変な視線がある気がして気になってたんだよね。まさかあの人が朝の手紙の持ち主だったり?だとしたらあいつはまた女にモテてたのか。本当にお前はモテるなぁ浪川。同性に。
「しっかし胸以外面白いもんねぇな」
「今すぐ立って『チオンジェン最高!』ってダンスすれば面白くなるぞ」
「それ、俺の尊厳死ぬだろ!」
元々死んでるやつが何を言うのやら。何度かまたうるさくして担任に物理で黙らせられる友人を眺めつつ、早くお昼になれと願う。琥珀と会いたいなぁ。




