187 琥珀の展示①
「じゃあ、行こうか」
「うん」
浪川が颯爽と?立ち去ったので二人で文化祭を回る。
「クラスと部活は大丈夫なの?」
「うん。なんか先輩達が『空いてる時間に直すから琥珀ちゃんは好きにしてて』って言ってたし、クラスも人足りてるからいいって」
「そっか」
展示にプライドを持ってる良い先輩だ。そう思うのが琥珀のような心の綺麗な者の考えだろう。他方、俺みたいな一度汚れた人はサボってたか納期的には未完なので?と疑ってしまうが真相はどっでもいいかな。琥珀との時間が作れるなら問題なし。
「あっくんはクラス大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。準備で頑張ったご褒美に琥珀とデートしてこいって感じ」
「えへへ……それは嬉しいかも……」
照れてる顔が可愛すぎてやばい。ふ、頑張った甲斐があるよ。そして一人占め出来るのなら色々したくなるが、何にせよまずはだ。
「琥珀は気になるものある?」
「あっくんのクラスの展示は気になるかも。あとは……あっくんの行きたい場所でいいよ」
それ程候補がないのはよく分かるよ。本当にもう少しどうにか出来そうだが俺の後の世代で変わるといいものだ。さて、俺の希望はもちろん一択。
「なら、琥珀の部活の展示を見たいかな」
「す、少し恥ずかしいけど……うん、分かった」
まず向かうのは書道部の展示。
書道部は空き教室の一つを使って展示をしてるようだ。同じ文字が並んでるがどれもかなり綺麗でそれでいて個性も出てる。多分大会向けの書き方ではなく、どちらかといえば好きなように書いてみたという感じか。……なんかさっき書いたようなインクが乾き切ってないのもあるけど。
「あれ?桐生さん、彼氏さん連れてきたの?」
「はい。あっくんが見たいって言うので」
「へー。彼氏さん、名前見ないで琥珀の書いたの分かる?」
「分かるよ」
同学年の子だろうか。今の当番みたいだ。
「じゃあ、当ててみてよ」
「あっくん、分かる?」
「勿論だよ」
わざわざ俺が視線を動かす度に謎の奇妙な黒い縦棒で名前の欄を隠すその子。ふ、その程度で隠してるとは片腹痛し。そして見なくても俺の琥珀レイダーは琥珀の書いたのを入った時点で察してる。
「そこの奥から二番目のやつ。それとあっちの陰にも一つあるね。それと廊下側の展示の上から二つ目だね」
「すっご、正解だよ。え?てかそっちのやつは見えてないよね?エスパー?それともさっき見たとか?」
「あっくん凄い!」
ふ、朝飯前よ。ちみに琥珀のやつはどれもめちゃくちゃ可愛い感じで見てもすぐ分かるやつだ。一つは『純愛』。二つ目は……『束縛』。されたいの?それともしたいの?していいならもっとするよ?そして最後のやつは……『愛して』。いいの?めちゃくちゃ愛しちゃうよ?そんな俺の心を文字でさえ掻き回す琥珀たそは天性の小悪魔ちゃんです。そんな所も大好き!




