185 文化祭の歩き方
琥珀をクラスに送って教室に行くと時間はそこそこ良い時間。川藤がアホなことを言ってくるのをスルーしてから廊下に並んでから体育館に移動。全校集会のような感じで、体育館で文化祭の開幕が宣言された。
文化祭の期間は二日間。一日目は展示を見て回る日になっており、二日目にステージ発表。好きに見て回れるのは一日目のみで二日目はほぼ体育館に居ることになる。思い返してみても何とも不健康そうなあれだけど、教室の椅子を持ってきていいのは先生方の最後の良心なのかもしれないと思う今日この頃。
前にも言ったように高校の文化祭みたいな模擬店や外からのお客さんなどない完全に内輪のノリのあれだけど、琥珀と一緒に回れるのなら退屈なクラス展示でも悪いものには映らないだろう。それに料理部と書道部には琥珀の手伝った展示もあるし楽しみだ。
「おーい。暁斗ー。空き教室でゲームするけど来るか?」
悪ガキ達をまとめているような感じで川藤がそんな誘いを持ってくる。前の時はそれで暇つぶししてたな。正直学生にとってそんなに面白い展示が多いわけでもないし、教師の見てない隙に持ち込んだカードゲームで盛り上がった方が楽しいのは分かる。だが、今回の俺は優等生。そんな悪ガキムーブはなしだ。
「悪いけど、今日は琥珀と回るからパス」
「リア充死すべし!」
「呪詛返しのカウンター」
「つまり……俺は今リア充ってことか!」
「はいはい。リア充だからナンパもいけるかもね」
「こうしちゃいらんねー!行ってくるぜ!」
俺は知った。アホは死んでも治らないと。そもそも同じ中学でナンパして成功するやつがモテないわけないでしょうに。二年や三年の知らない先輩とかでもワンちゃんないぞ。キモイのは悪い意味で覚えられてたりするし、ガチのマジでアウトオブ眼中な場合はそもそも脈がないし。まあ、どうでもいいか。俺は琥珀と回れればそれでいい。
「本当にいいの?見張り参加しなくて」
「あのアホを追い払ってくれたし、今泉くんは準備をほとんど一人で頑張ってくれたしね。彼女さんと楽しんできなよ」
「ありがとう」
心優しいクラスメイトにさえアホ呼びされてる川藤に敬礼。
「でもそんなに見て回るものあるかな?ゲームは論外だけど、読書してる方が有意義そう」
「そうかな。恋人との時間はどんな時でもかけがえないものだよ」
「へー」
ニマニマしてる女子に喋りすぎたと言って退散する。クラスの見張りは展示物を壊すアホが居ないためのものだけど、何かしら役目があった方が楽だからか希望者もそこそこいる。俺の出る幕はないと琥珀のクラスに急ぐのだった。




