182 文化祭前日
衣替えがあったと思ったら、あっという間に文化祭は近づいてきていて、気がつけば文化祭前日。準備も佳境で朝もいつもより早く学校に来て、部活の方の準備のある琥珀を送り届けてから俺もクラスの展示に加勢する。八割はできてるのだが、如何せん人が足りない。
「流石に不味いかもね」
完成は間近でも出来ればもう少し人が欲しい。そんな事をクラスメイト達が思ってる時だった。
「はっはっは!お困りかねガールたちよ!」
そう言ってアホ……いや、アホの友人川藤が教室に入ってくる。
「川藤、遊んでないで手伝って」
「おっと。俺は川藤ではない。ミスターカワフージだ!」
「いいからやんなさいよ!」
「すんません!」
女子にキレられて秒で素に戻る川藤。
「んで?このタイミングってことは他にも居るんだろ?」
「まあな。ほら、入ってこいよ同士共」
そう言うと気まずそうに入ってくるのはこれまで準備に参加出来なかったクラスメイト達。
「すまん!皆に任せて!今からでも手伝える?」
「部活が忙しくて……でも今日は大丈夫から出来ることあったら教えて!」
時間は有限。事情も人それぞれで責めるのはお門違い。俺よりも大人なクラスメイト達がそう納得してさっさと作業に混ざってくる。これなら終わるかな。
「にしてもよ。この人数でよくここまでやれたよな」
川藤がほへーと物をみてそんな事を言う。
「今泉くんのお陰だよ」
「だねー。今泉くん何気に一番頑張ってくれたし、色々手を回して手伝いも少し来てくれたからねー」
「へー、そうなのか」
ニヤニヤとこちらを見てくる川藤。うざ。
「琥珀の件で借りがあるから出来ることしただけ」
文句ある?と川藤に視線を向けると更にニヤニヤしてきやがった。
「暁斗くんってばツンデレー」
「川藤」
「なになに?」
「知ってるか?アルミ缶はな……少量なら食べても健康被害少ないらしいぞ」
「誰かー!俺の給食を守ってくれー!俺はアルミ缶を食いたくねー!」
「いいからアンタも手を動かしなさいよ!」
「すんまそん!」
また女子にキレられて作業を始める川藤。懲りないやつめ。それはともかくこれなら間に合うか。数の暴力は凄まじく、これまでの少人数プレイとは比べ物にならない速度で放課後の作業でクラスの出し物は完成した。
「今泉くん、ありがとうね」
そうお礼を言われたが、俺は琥珀の件での借りを少し返しただけ。それにこうして真面目にやってる様子は内申点にも響くしね。適当に答えるとまた川藤がニヤニヤしてきたので本当にこいつだけ給食にアルミ缶刻んで混ぜんでやろうかと考える。でも、可愛い琥珀のことを思い出してやめる。琥珀に感謝するんだな。俺の唯一の良心だからね。




