181 今泉くんの懐事情
「暁斗!今月ピンチだ!」
朝から琥珀を堪能して、琥珀をクラスまでエスコートしてから自分のクラスと教室に入ると友人の川藤がそう泣きついてきた。
「焼肉は美味かった?」
「美味かった……食べ放題なのにあの値段は破格だわ……じゃねぇ!奢らされた身になれよ!」
「まさか本当に奢るとは思わんじゃん」
断れる流れではないけどしれっと居なくなるくらいやりそうな奴だし。
「奴らフォーメーション組んで俺の脱出を阻止した挙句に俺を腹一杯にして動けなくする計画だったんだ!ずりぃよ!」
「後半ほぼ自業自得だよね」
フォーメーションはともかく、食いまくって満足してダラダラしてて逃げられなかったのはよく分かった。
「なあ暁斗」
「金なら貸さんよ」
「ひっで!それでも人間かよ!」
「残念。俺は琥珀の守護神というカテゴリーです」
「人超えやがった!ずりぃ!」
何がずるいのやら。
「ていうかお金なんて貸したら川藤は俺に一生たかりそうだもん。やだよ」
「そんな事しねぇよ!……多分」
いや、絶対する。こいつはダメ人間の素質があるから特にそう思う。
「そういや暁斗朝新聞配達のバイトしてんだろ?あれ時給いいん?」
「普通かな。あとそれは内緒のやつだから」
新聞配達はどちらかといえば体作りが目的になりつつあるし。何だかんだたまにある浪川の家の親父さんからのバイトの報酬が良すぎるので金額は二の次って感じになってきてしまった。
流石にグレーなことしてるだけあって実入りはいい。浪川本人よりも親父さんとの方がプライベートで会ってるけどあの人は中々凄い人だし関係を築いておいて損は無い。お陰で貯金額も膨れてきたし、琥珀に色々買ってあげれるよ。
「バイト出来ればなぁ」
「まだ中学生だし仕方ないよ」
「バイトできれば自由にエロ本選べるのに」
いや、それはバイトしてても中高の間じゃ買えないものだから。
「大人になったら大人の店が多い都会に行くぜ!」
「破産するからよしなって」
「止めるな友よ!俺はなる!大人のお店の王に!」
あ、こいつ絶対どん底に落ちるタイプだ。そう思いつつも俺は琥珀が一番なのでスルーしてホームルームの準備をする。担任が入ってくるまで大人のお店への期待を語る川藤は……ハッキリ言って面倒くさい。金欠から何故そんな話になるのやら。そもそも琥珀以外の好きでもない相手に欲情なんて無理無理。気持ち悪くて仕方ないもの。俺は琥珀だけがいいし、そういう店は絶対行かないだろなぁ。
それにしても焼肉か……デートにはあれかもだけど琥珀と行って夫婦みたいなやり取りはしてみたい。自然な感じでお互いにお肉を焼いて分けて……うん、なんか悪くないな。機会があれば行くのもいいかもね。




