126 剣道
(`・ω・´)/メーン!
道場の匂いは少し不思議な気がする。そう思いながら道着に着替えて防具を着ける。面を着けると視界が狭くなり、見える景色が違ってくる。
「準備はいいの?」
竹刀を構えると、目の前には道着のみで防具は着けてない祖父が竹刀を握っていた。いつもは孫に甘々な人なのに、その目は鋭くなっており、俺を敵として見ていた。
「では……はじめ!」
その祖父の声と共に祖父の姿が掻き消えた……違う、くる!
「くっ……!」
俺は正面から打ち込んできた竹刀をなんとか防ぐが、力が圧倒的に違くて、押し切られそうになる。なんとか、竹刀を斜めにして抜け出すが、祖父の姿がまた消える。
いや、多分俺の死角に素早く回り込んでいるのだろう。
孫相手にマジになり過ぎと思うだろうが……このくらいの方が、丁度いい。竹刀で実践は有り得ないが、こういう経験はそのうち生きてくる。
斜めから切り込んできた祖父は俺の胴を狙っていたようだ、咄嗟に腕を下げるが、間に合いそうもないので、わざとぶつかりにいく。その代わり、一本取らせないために胴の部分は避けて道着が見える部分に当たらせた。
「ほう、やるの」
「……!まあね」
祖父の鋭い一撃で、多分道着の下は少しアザになってるだろう。無論痛いが、それでも、琥珀が受けた痛みに比べればこんなの痛いうちに入らないだろう。
胴を外した祖父は一本取れないと分かると反転して今度は篭手を狙ってきた。にしても、防具が無いとはいえ、この歳でこんなに素早いのは反則だと思う。農作業してて体力があるとはいえ、手加減してこれだもの。
俺もそこそこ運動神経は良い方だと思っていたけど、祖父のは別格と言えるだろう。
そんなことを思うが、俺は腕を下げるモーションをしていたので、祖父からすれば簡単に篭手を狙えたのだろう。まずい、このままだと一本取られる。
そう思って咄嗟に腕を突き出すと、そこにバシン!と一撃入る。当たったのは素肌の部分なので、物凄く痛いが、篭手をしてても痛いものは痛いので、我慢して歯を食いしばった。
「守るだけかの?」
「……今から反撃だよ」
とはいえ、素早い祖父から一本取るのは容易なことではない。なら、カウンター狙いでなんとか一本取るのが妥当か?
その後もなんとか奮戦するが、結局、祖父から一本取ることは出来なかった。けど、浪川家の人よりも速い人を知ったので、これでスピードと忍耐の訓練くらいにはなっただろうと思う。
祖父は思ったより俺が奮戦したことが、かなり嬉しかったのか、最後の方は笑みを浮かべていた。まあ、とりあえずは……終わったら汗流して琥珀を抱きしめたいという気持ちが強かったのだが、説明の必要はないだろう。




