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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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91 傭兵会館

 野営地での一夜はなに事もなく過ぎて朝を迎えた。


 天候は曇り。風がちょっとあるくらいで歩きにはなんら支障はないだろう。


 朝飯をしっかりと済ませ、食後のお茶をいただいてからベルホンへ向けて出発する。


 昨日と同様トラブルはナッシング。快調である。


「イビス。手が止まってる。サボらない」


「グレネードは魔力を使うんだから容赦してくれよ……」


「楽をしたけれは熟練度を上げる」


 出して出して出しまくる。千里の道もダッシュで進め。さすれば最速で到達できるものだ。


「いざってときに動けないと思うのだが?」


「人生でも戦いでもいざってときから真の勝負が始まるもの。負けたくないのならいざってときが来る前に揃えておく」


 準備期間がありながら備えることができないヤツはさっさと死ねばいい。生きたいと思う者の邪魔でしかないわ。


「あ、照明弾多目で」


「我に慈悲を」


「神にでも祈れ」


 悪いな。オレのポケットには無慈悲しか入ってないんだわ。


 次々とアイテムボックスに入って来る照明弾を連結させ、両袖から発射できるようにローブを改造する。もちろん、手のひらの創造魔法も発動させてますよ。訓練のお陰で左右の手のひらから別のものを創れるようになったんでな。


 そんなこんなで昼くらいになった頃、原風景だったところに畑がちらほらと見えるようになって来た。


「……町から離れてるのに畑があるんだ……」


「魔物が食わないものは遠くで育てるようにしてるのさ」


 と、オレの呟きにおっちゃんが答えた。


 なるほどね。人とは強かなもんだ。こんな時代でも強く生きてるんだからさ。


 ちょっと作業を加減しておっちゃんから情報を仕入れることにした。


 おっちゃんは冒険者らしく、町の情報集めや手紙を届ける仕事を中心にやってるそうだ。


 これから向かうベルホンにも何十回といってて人脈も結構あるとか。おっちゃん、うちに来ない? 倍払うよ。


「断る。おれはまだ生きていたいからな」


「大丈夫。殺させないから」


 オレは最後まで使う雇い主だよ。


「……それはそれで恐いな……」


「死ぬことを許されない職場は止めておいたほうが無難だぜ、おっちゃん」


「イビス。どっちの味方?」


 勧誘してるんだからサポートしろや。


「わたしはまだ人の心を失いたくないだけだ」


 まるでオレに人の心がないようなセリフだな。オレは人の痛みを知る女の子だぜ。


 イビスのせいでおっちゃんの勧誘は失敗。グランディール傭兵団にはそう言った人脈を持つ者が必要なのによ。ちぇっ。


「気をつけろ。前から傭兵団が来るぞ」


 ふて腐れていると、おっちゃんが緊迫した声を上げた。


「突っかかって来るようなら力で排除していい」


 ケダモノなら慈悲はなし、だ。


「おいおい、揉め事は止めてくれよ」


「それはあちら次第。こちらから突っかかる気はない」


 オレは採算の合うケンカは喜んで買う主義だ、と意気込んでいたら、傭兵団が道を譲り、なぜかこちらから視線を逸らした。なんでや?


「……確実にこちらを恐れていたな……」


 恐れる? なんでや、イビスちゃん。


「あの様、見覚えがあります。カイヘンベルクに来てました」


 と、ロッシュニー。よく覚えてたね。オレ、まったく興味ナッシングでした。


「ボス。なにしたんだ?」


 え? オレが仕出かしたこと前提なの?


「町を一つ、跡形もなく消滅させましたからね。グランディール傭兵団の名は恐怖の対象なんでしょう」


 なぜそれを嬉しそうに言うかな? 視線逸らされる存在なんだよ。


「町一つって、どうやったら跡形もなく消滅できるんのだ?」


「TNT爆破薬的なものを詰めたドラム缶を二十くらいで」


「的なものってなんだよ? ってか、ドラム缶二十? クレージーか!」


「それはちょっと反省。まさかあれほどの威力があるとは思わなかった。次回は半分にしておく」


「半分でも多いわ!」


 そうなの? オレ、素人だからよくわからんのよね。


「……爆発させるときはわたしがやるからボスは二度とするな……」


 そうだな。素人には危険だな。プロっぽいイビスに任せよう。またレベルダウンは御免だしよ。


 とりあえず、創ったTNT爆破薬的なものをイビスのアイテムボックスにと移した。


「……よくもこれだけの量を創ったものだな……」


 日々これ創造。一分一秒惜しみなく創造せよ、だぜ。


 なんてことやってたら畑が麦畑に変わり、人の姿も多くなって来た。


「ベルホンが見えて来たぜ」


 おっちゃんの言葉に前方を見ると、山を町にしたベルホンが視界いっぱいに飛び込んで来た。


「これはまた、スゴい町だな」


 イビスの言う通りだ。よくこんな町を造ったもんである。


「風車がいっぱいあるのはなんで?」


「地下から水を汲んでるのさ」


 ああ。言われてみれば納得。水がないと町なんて成り立たないしな。


「栄えてるね」


 人の往来があり、隊商も多く見られる。魔物の被害に遭ってるとは思えないな。


「まずは宿を取ろう。傭兵会館は明日だ」


 傭兵会館? そんなのあるんだ。知らんかったわ。


「リンたちでも大丈夫なところ?」


 亜人はよく思われてないんだろう。ましてや熊も連れてるし。


「そこは娼館のばーさんのコネだな。この町の娼館がやってる宿に泊めてもらうよ」


 なにかばーちゃんのコネと言うところに思惑を感じるが、見返りのない善意よりはマシ。ギブ&テイクが安心できるわ。


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― 新着の感想 ―
[一言] >計算メンドクセーと思って適当に書くと教えてくれる方が現れる。 さくしゃ は どくしゃをつかう を おぼえた !
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