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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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52 とんでも生命体

 手のひらの創造魔法とコピー能力。


 ある意味、能力の重複だ。


 手のひらの創造魔法があればコピー能力などなくても創れるし、性能を二倍にしたり魔力消費を抑えれば済むことだ。


 なら、なぜ願ったか。いろいろ理由はあるが、大きい狙いは邪神の目から逃れるためと出力を二つにするためだ。


 能力は光だ。強い輝きを見せれば嫌でも目立つ。ここにお前の敵がいると教えることと同じ。殺してくださいと言ってるようなものだ。能力が小さいことに越したことはない。


 出力を二つにしたのは作業を分担するためだ。


 オレが欲しいもの。それは魔力。じゃあ、邪神に気がつかれず、魔力を増やすそうとしたら魔石を用いるのが手軽だろう。


 魔物に魔石を識別する能力や容量を見抜けるかはわからないが、バフリーの魔力を貯め込んでいるのにもかかわらず襲って来ないところを見ると、ないと見ていいだろう。


 まあ、絶対ではないが、魔力を識別できるなら別のものに変えればいいだけだ。対応策はいろいろ考えてある。


 重複になる願いだが、出力は二つになった。ならば、作業を分担し、リリーに魔石をコピーしてもらえばいい。


 最初は10の魔力を消費して10の魔石をコピーするだろうが、熟練度が上がれば1対10も夢ではない。千里の道も一歩から、だ。


 問題は、神様がどう解釈して、どう介入して来るかだ。


 賭けはしたくないが、神様相手に心配しても無駄。成るようにしか成らないのなら神任せだ。


 問題はリリーがどうなるかだ。


 一つの生命体と願ったが、姿や種族はあえて決めてない。


 どうせ思い通りにはならないのだから神様任せのほうがいい。無駄に怒らなくて済むしな。


 重要なのは能力がどうなるかが気がかりなのだ。


 一応、オレの分離体になるかもと、同じ魔力量は持たせたが、どうするかは神様の胸三寸。オレの思いを酌んでくれるか、オレを困らせるか、蓋を開けるまではわからない。さて。どうなることやら……。


 覚醒する意識が重い瞼を開かせた。


「あ、やっと目覚めた」


 そこにいたのはパペットなリリーだった。なんで?


「なんで、と言われてもこの姿で願ったんだからこの姿のままじゃない」


 いや、そうだけど、雑すぎんだろう。もうちょっと世界に合わせて補正しろよ! なんて生き物だよ!


「パペット?」


 新たな種族誕生させちゃったよ! どうすんのこれ!?


「まあ、いいじゃないの。わたしは気にしないわよ。守護天使に姿など関係ないしね。でも、生きてるのは嬉しいかな。霊体では感じられないものを感じられるんだから」


 本人がそれでいいのなら構わん……のか? もういいや。考えたら負けなやつだ。ありのまま受け入れよう。


「ってか、生きてるなら食べたり出したりするのか?」


「食べたりはするけど、出したりはしないわね。パペットだもん」


 つまり、突っ込んだら負けなやつな。了解了解。ザッツオ~ラ~イ。


「ってか、オレはどのくらい意識を失ってた?」


 オレがいるのは意識を失う前と同じ四阿で、まだ陽はあった。


「リンの感覚で言うなら二時間くらいかしら」


 二時間か。結構意識を失ってたな。


「お腹空いたな」


 全魔力をリリーに注いだから腹ペコだわ。なんか食べよう。


「わたしも食べる~」


 と、オレの周りを飛ぶリリー。これがアニメなら設定クソ! とか叫んでるところだな。


「あ、リンねー!」


 グランディール傭兵団本部──と言うにはおこがましいが、集まって食事を摂れる程度にはできあがった建物に来ると、獣人の子にタックルされた。


 ……衝撃吸収機能を追加してなかったら吹き飛ばされていたな……。


 注意しようとして、この子の名前を知らないことに気がついた。


 オレ、もっと興味持てやと、>っと鑑定。ジュアって名前だった。


「リンねー、なにしてるの?」


「なんでもない。お腹空いたから食事をお願い」


「あ、わたしもね~」


「わかった~」


 リリーはスルーかよ。子どもの目にはどう映ってんだ?


 建物に入ると、オバチャンたちが裁縫仕事をしていた。


「リン様、こちらへどうぞ」


「うん。ありがとう」


 空けてくれた席に座り、料理が出て来るのを待つ。


 その間、オバチャンが話しかけて来ることはない。オレが無口だとわかっているので。ってか、オバチャンたちもリリーを受け入れてんのね。なんでだ?


「リンが意識を失ってる間に説明しておいたわ。わたしは、リンの守護天使だってね」


 いや、その説明もどうかと思うし、素直に受け入れてんのもどうなのよ? もっと疑いを持てよ。あんたらどんだけ純粋なのよ?


 よくそれで生き残って来られたよな。不思議でたまらんぜ。


「リンねー。リリーちゃん。はい」


 と、ジュアが料理を運んで来てくれた。


「ありがとう」


「ジュア、お手伝い偉いね~」


「エヘヘ」


 紅葉のような手でジュアの頭を撫でるリリー。喜ぶジュア。そんな微笑ましい(?)光景を横目にいただきます。


 ムシャムシャゴックン。あー美味しかった。ご馳走さまです。


 ホットササを飲んで一息。さて。リリーちゃん。本題に入りましょうか。


「あ、わたしまだ食べるから」


 パペットがネズミの素揚げを食べるこの怪奇。オレはとんでもない生命体を創ってしまったようだ……。


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