51 守護天使(コピー能力)
どうも。神の御子としてお祈りされるようになったリンです。
これはなんて試練なんでしょうか? それとも罰ゲームでしょうか? オレ、前世でなにか悪いことしましたか? 齢六歳にして人生に挫けそうです。
「リンねー、どうしたの?」
「ねーね、お腹痛いの?」
お子さまたちだけがオレを普通に見てくれます。
「リンは疲れてるだけだから大丈夫。さあ、リンおねえちゃんを休ませてあげましょうね」
お前は黙れ。謎の生命体め。
「やーね。わたしはあなたの守護天使よ」
クソ。なにが守護天使だ。単に監視だろうが、神の手先め。
「ふふ。神は見てるだけよ。たまに手を出しちゃうのが困っちゃうけどね」
神にしたらちょっとだろうが、下界では大事になんだよ! 神なら察しろや!
「ほんとね。お陰で守護天使は大変よ」
守護天使と言う割には俗物な感じだな?
「守護天使は守護天使でもわたしは下位の守護天使。この界に降臨できる第十八階級天使なの」
なの、とか言われても神界の事情など知らんわ。
「わかりやすく言えばリンと同じくらいの力しかないの。ただ、わたしの力はリンが決められるわよ」
もうちょっとわかりやすくお願いします。
「簡単に言えば能力をもう一つあげるってことよ」
本当に簡単やな。例えば、例えばの話をしても大丈夫か? 言っちゃったら最後、その能力になりました、とかはないよな?
「ええ。大丈夫よ。神に誓って」
その神が信用できねーんだよ。そんな誓いいらんわ。
「それはごめんなさい。フフ」
クソ。自分の姿と声にしなくてよかったぜ。してたらイラつき全開で血管が切れてるところだわ。
「まあまあ、落ち着きなさい。せっかく神が与えもうた慈悲なのよ、上手に使いなさいな」
そ、そうだな。あるものは利用してこそ次に繋がる。ここで諦めたらオレの人生なんだったんだって話だ。幸せにならなきゃやってられんわ。
フッフッヒ~。よし。落ち着いた。あのときのように知恵を働かせるんだ、オレ。
「女の子に生まれたんだから心も女の子になりなさいよ」
だったら記憶なんて継がせるなや! お陰で女とも男ともわからない存在になってんだぞ!
せめて男の感覚(あっち方面ね)があれば性別を利用して楽しめるのに、アレがないせいかまったく反応してくれない。人生の半分を損した、と思ってもくれないから悲しくなるぜ……。
「……どんな能力でもいいんだな?」
「まあ、神の摂理に反しなければ、だけどね。命の創造とか死者の復活とかね」
それは理解してる。手のひらの創造魔法でも命は創れなかったからな。なんでもではないやん、とか突っ込むだけ無駄だ。
「リリーがリンになる能力でも大丈夫か? その場合、オレの意識もリリーに移れたり、危なくなったらすぐに抜けられたりできるようにしたい」
「危なくって、その場合、わたしが死んじゃうんだけど」
「死ぬとどうなるんだ?」
「消えるに決まってるじゃない」
決まってるんだ。守護天使なのに。なんでや?
「わたしがあなたに与えられたのは一回限りの慈悲。なくなればそれまでよ。と言うか、わたしをもっと大切に扱ってよね」
うん。ごめんね。守護天使とか抜かす君をどう扱っていいかわからないんだ。もし、取扱説明書があればもらえると嬉しいよ。
「ないわよ、そんなの」
ですよね~。
「もっと真剣に考えなさいよ。せっかくの慈悲なんだから」
オレにはとても慈悲には思えないんだがな。とは言え、チャンスなのは確か。より良い人生にするために考えろ、だな。
「ってか、もし強力な剣とか願った場合、リリーはどうなるんだ?」
「剣の姿になるわよ。意思のある剣に、だけど」
それはつまり、外付けの能力ってことか。ん~。良し悪しだな~。
オレに足りないもの。んなもんいっぱいありすぎて一つに絞れねーよ。
「剣じゃダメなの?」
「オレは戦闘職じゃないし、戦闘する気もないの。つーか、能力もないのに最前線に連れてかれたら速攻死ぬわ」
まったくないってのも不安だから、多少なりとも鍛えるが、ガチの戦いなんぞ御免である。
「なら、盾は?」
「それはアウトだからダメだ」
異世界でも守るべきルールってのがあんだよ。ってか、ローブ着てるから防御力はいらんわ。
ん~。望むとしたら手のひらの創造魔法を補完する能力だな。なんだ? なにが足りない? いや、手のひらと言う制約を外すか?
いや、ダメだ。強い能力はダメ。これは勘だ。確証のない思い込みレベルと言ってもいいだろう。
──強い能力は邪神の目に止まる。
本当にもう勘でしかない。勘でしかないが、オレには確証レベルになってる。
邪神もまた見ている。強力な力を持つ者へと仕掛けて来る。
まだだ。まだオレには力がない。抗えるだけの数が揃ってない。反逆のときは今ではないのだ。
今はまだ雌伏の時。力を蓄える時だ。
そう考えたとき、オレに必要なのは魔力。だが、魔力だけではダメだ。汎用性を持たさなければならない。
「……コピーか……」
万能なコピー能力ではダメだ。邪神に目をつけられる。かと言ってカス能力では本末転倒だ。
「リリーには熟練度が適用されるの?」
「んー。されるみたいね」
よし! 神様グッジョブ!
>っとリリーを鑑定。魔力はいくらだ? オレと同じイモ二千五百個くらいか。ん? いや、オレの魔力か。ってことは、だ。そう言うことか? いや、賭けだ!
全魔力をリリーに注ぎ込む。
「……リ、リリーを別生命体として、リリーが触ったものをコピーできる能力を望む!」
さあ、鬼が出るか蛇が出るか。神様の修正に乞うご期待だ!
意識がなくなりながら叫んだ。




