48 女子力
毎日がショッピング三昧。なんて言えるくらいショッピングをする毎日だったが、じーちゃんからの注文もやらなければいけない。納期は守ってこその信頼である。
四阿でアイスココアを飲みながら光の指輪を創る。
まあ、ぶっちゃけ、やってますアピールだな。でないとオレの能力がバレちゃうからよ。
「リンねー、あそぼー」
「ねーね、あそぼー」
と、なぜか獣人の幼女さまがまとわりついている。しかも、籠に入れられた赤ん坊までいるのだから意味がわからない。
なにがどうなってんのよ!?
「あ、リン様。この子もお願いしますね」
さらに追加されるお子さま。いやいやいや、説明してから置いていけや。じゃなくて置いていくなや!
「ガウガウ」
と、お子さまの遊具になってるシルバーがオレのせいだと責めて来た。オレのせい? なんで?
「ガウガウ」
ん? 妹か弟欲しいとか言ったから? オレ、そんなこと言ったっけ? まったく記憶にないんだけど。
「リンねーあそぼーよ!」
「ねーねあそぼー!」
五歳と三歳くらいの幼女さまによって左右から引っ張られる。
「…………」
無視するもまったく諦めない幼女さまたち。あーもーわかったよ! 遊べばいいんだろう遊べば!
「なにして遊ぶの?」
「おもしろいこと!」
こちらに丸投げかい。無茶振りだな。
ったく。五歳と三歳相手になにをして遊べと言うんだよ? おままごとか? お人形遊びか? なんだ?
なーに? なーに? と、こちらの苦悩などお構いなしの幼女さまたち。まったく無邪気なもんである。
ってか、この子たち、頭も尻尾もぼっさぼさやなー。ちゃんと手入れせんのか? いや、その余裕がまだないと言うことか。
「二人とも、お風呂入ってる?」
うちで働く者には風呂を強制させている。この時代、臭いに鈍感だから参るぜ。
「体は拭いてるよー」
「あたちはかーちゃに拭いてもらってるー」
ん? この子らはうちで働いてる子らじゃないのか?
まあ、なし崩しにオバチャンが増えてるし、関係ないか。
「ここに座って」
小さいほうを自分が座ってた椅子へ座らせる。
「なーに?」
「動かない」
振り返る幼女の頭を両脇からつかみ前を向かせる。
「頭洗う」
ぬるま湯の水球を創り出し、幼女の長い髪を覆わせてゴシゴシ洗う。耳に水が入らないよう注意しながら。
生まれたときから洗ってないのか、汚れが酷い。一度水を捨てて今度はシャンプーで洗う。
「……銀色なんだ……」
灰色かと思ったら銀色だった。どんだけ汚れてたんだよ。
熱風で乾かすと、これまたサラサラな髪になった。
「ミューの髪サラサラになった~」
自分の尻尾を追いかける犬のように自分の髪を追いかけ始めた。
「次はあなた」
大きいほうの子を座らせ、同じく頭を洗う。この子は茶色じゃなく蜂蜜色の髪だった。
オレもピンクじゃなくこんな髪の色に生まれたかったぜ。この世界のメラニン、仕事しすぎだよ。
「おーサラサラ~!」
こっちの子も自分の髪を追い始める。犬か。
「ねーね、ミューの髪サラサラ~」
「もっとサラサラにする。座って」
小さいほうの子をまた座らせ、ブラシで髪を梳く。
サラサラになったとは言え、それはこちらの基準。前世の基準にはほど遠い。ミグミって花の油を垂らしながらゆっくり優しく梳くと、まあ、合格点は出せる髪にできた。
最後にリボンを創り出してツインテールにする。うん。オレの女子力が止まること知らないぜ……。
「ふぉおぉぉ!」
鏡で自分の姿を見せてやると、変な驚き方をした。
「リンねー。あたしもしてー!」
ハイハイ。わかったよ。お座んなさい。
「かーちゃに見せて来る!」
ハイハイ。好きしなさい。転ぶなよ。
同じく髪を梳いてると、他の子たちも集まって来て、オレのやることを興味深く見詰めていた。
……この流れはよくないな……。
オレの勘、大正解とばかりに女の子がばかりか男の子までねだる始末。面倒臭いと言ったところで聞くワケもないと、皆の髪をサラッサラにしてやった。あー疲れた。
自分の姿を親に見せにいってやっと静かになったので、すっかり温くなったココアを冷やしてまったりブレイク。あー美味しい。
なんて現実逃避をしても無駄。子どもたちがあんな姿になって興味を抱かない親はいない。
最初の子が親に見せにいってから徐々に集まりだし、自分もやってもらえないかと四阿を囲んでいるよ。
無駄な抵抗はするだけ無駄。だが、さすがに全員なんて無理。死んじゃうよ。
手のひらの創造魔法でシャンプーとブラシ、髪油をいくつも創り出す。
「使って」
やるんなら自分でやりやがれ。でも、尻尾をやらせてくれるなら考えないでもない。
「さすがリン様、一生ついていきます!」
一生たかります。と脳内変換されそうになったが、悪霊退散とばかりに頭を空っぽにする。
「リンは忙しいの」
これ以上、巻き込まれたくないとローブに隠れた。
ハァ~。今日は無駄に女子力が上がっただけの日だぜ……。




