46 親子
と、叫べないのでグッと我慢の子。上手くいかないのなら上手くいくように補正しろ、だ。
「一年かかる」
「一年だと!?」
先ほどじーちゃんに肘打ちされたおっちゃんが驚きに叫んだ。急に叫ぶなや。びっくりするだろうがよ!
「バリュード!」
じーちゃんの鋭い一喝。そう言うの止めろや。子どものハートは繊細なんだからよ。
「すまん。驚かせたな」
頭を下げるじーちゃん。ってか、やけに下手に出るな。なんなのよ、いったい?
「いい」
「しかし、一年か。そんなにかかるものなのか?」
「リンの魔力少ない。ちょっとずつ創る」
バフリーから得た魔力がなければ創れなかったものだ。自分の魔力だけなら一年はかかる。
「それは魔石があればもっと早く作れると言うことか?」
「それでも一年はかかる。他にもやることあるから」
「……やることとは、獣人たちのことか?」
嫌悪、はないようだが、おもしろくはなさそうな表情だな。
「そう。リン、傭兵団創った。食べさせる必要ある」
オレの言葉に驚くじーちゃんたち。まあ、当然だろう。六歳の幼女が傭兵団を創ったなんて言うんだからよ。驚かないほうが正気を疑うわ。
「どうしてもなら金貨八十四枚と魔石たくさん。それなら秋まではできると思う」
適正価格。銅貨一枚負けんぞ。魔石は……うん、まあ、なんだ。その日の気分と体調で、と言うことでご理解いただけると助かります。
「わかった」
「父上!?」
父上? 親子か。似てないな。主に性格面が。そんな息子に苦々しく見るじーちゃん。子育てって難しいな。
渦巻く感情を抑え込み、息子からもう一人の男に目を向けた。
男は頷き、持っていた鞄から小袋をいくつか取り出してじーちゃんに渡した。
「まずはこれで進めてくれんか。残りは順次届けるので」
小袋の中を確かめる。
金貨は五十枚。銀貨が五十枚。魔石は粒がバラバラのが二袋。光の指輪を買う気で来たが、想像以上に高かったってワケだ。
金貨の価値はいまいち理解してないが、レーザーを撃てる光の指輪が金貨五十枚とか安く見すぎじゃないか? まあ、八十四枚もどうかと思うが、器だけならそんなものだ。魔力は別途なんだからよ。
「わかった。指輪でいい?」
もっといただけるなら形を変えまっせ。
「ああ。指輪でよい」
「どうする?」
「? どうするとは?」
「一人だけ使えるようにするか誰でも使えるようにするか、どっち?」
オレはどっちでも構わないが、所持し、管理する者に取ってはその二つは重要だ。利点と欠点。戦術や戦略。他との利害関係。自分の立ち位置。どちらかにするだけで対応が変わって来るものだからだ。
「……そうじゃのぉ……」
「難しくすると魔力はいっぱい使う」
まあ、単純にするのも良し悪しなんだがな。魔力、と単純にしたせいであらゆる魔力を吸える性能になってしまう。例えるなら灯油でもサラダ油でも、ありとあらゆる油で走る車が安いはずがない。とんでもない開発費や製造費がかかることだろう。
……手のひらの創造魔法、そんなところがあるから厄介なんだよな……。
「管理者と使用者、わけるのがいい」
「と言うと?」
「管理者を三人選ぶ。管理者は使えないが、使用者を決める権限はある」
簡単な方法だが、難しくしても運用が大変になるだけだしな。
「それで頼む」
「あと、光の指輪、使える回数ある。いっぱい魔力使うから器がもたない」
もちろんウソである。だが、光の指輪に頼りすぎて軍隊の質を落とされても困る。オレは数は力だ派だからな。
「何回使えるんじゃ?」
「たぶん、全力で三回か四回」
に設定させていただきます。
「……それだけか……」
「光の指輪はどうしようもないときに使うもの。ねーはそれがわかってくれない」
剣で殺せるなら剣で殺し、遠くにいるなら魔法で殺す、数で来たらそれ以上の数で駆逐する。どうしようもないときに使えばいいのだ。コストに見合わないことは止めて欲しいぜ。
「まあ、威力が威力じゃからな」
「リン。数に勝る武器はないと思う」
もちろん、質を否定するつもりはない。一人の英雄が戦況をひっくり返すこともあるから。だが、最後は数だ。数の多いほうが勝つとオレは思ってる。
「数を揃えるのも大変じゃがな」
「……うん……」
やってみてわかる大変さ。頑張ってる代表者に敬意を表します。
「秋までに創る」
「頼むよ。それと、これからは個人的なことじゃ。なにかうまいもんを食わせてもらえるか? あと酒も頼む」
もちろん。お金を落としてくださる方は神様仏様。見習えや、オレをこんな世界に落とした疫病神が!




