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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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197 誰ですか~?

「リリー。オレに言うことはあるか?」


 その問いにリリーは沈黙で返して来た。


 それは二つの見方ができる。神が関連しているか邪神が関連しているかだ。


 邪神側の秘密の隠れ家があるところで邪神の使徒が目立つことはしないし、隠すにしてももっと巧妙に隠すはずだ。こんな貧乏教会などに仕込むなど見つけてくださいと言っているようなものだ。


 それに、こちらが本命ならビヤーボをもっと目立たさせなくする必要がある。あんなあからさまにするわけがないわ。


 となれば、答えは神側だ。つまり、九十九人の一人ってことだ。


「あれ、使徒だな?」


 やはりリリーは答えない。


「ウソをつけないってのも大変だな」


 ウソがつけなければ黙るしかない。まあ、やり方次第で真実を見えなくすることもできるが、そう言うところは融通効かなかったりするんだよな。それはわざとかと勘繰りたくなるぜ。


「主は偽りを嫌うわ」


「人は偽りを好むけどな」


 オレはどちらも好む。だって真実だけでも虚偽だけでも生きられない世界で生きてるんだからよ。


「どうするの?」


 主語を述べて問えよと言いたいが、まあ、言いたいことはわかるので口にはしないでおく。いや、リリー相手に無駄だけどさ。

 

「相手次第だな」


 神から能力を与えられようが、使えないヤツは使えない。能力を活かすには前世の資質や考え、経験が必要だ。便利だから、強力だからで選んだヤツは早々に脱落するだろうよ。


「邪神側が見逃すには、能力が強力か雑魚かのどちらかだよ」


 強力な力を隠し続けるヤツがいるなら一番目のヤツか九十九番目のヤツだろうよ。


「真ん中のリンはなんなのよ?」


「バランスがいいヤツさ」


 生憎、オレは凡人だ。一番最初に飛び込む蛮行はないし、すべてを見てから飛び込む勇気もない。凡人の中の凡人。キング・オブ・凡人だ。


「その凡人が一番神に愛されている皮肉。主の愛は深いわ」


 そんな重い愛などいらんわ。他のヤツらに注いでくださいませ。


「ウェルヴィーア教の本拠地に戻る」


「いや、あそこは魔法教義会の本拠地よね」


 細かいことは気にすんな、ダゼ☆


 万能偵察ポッドを残し、本拠地へと戻った。


「お早いお帰りね? なにかあったの?」


「まだわからない。地下、借りるね」


「なっ!? なぜ知ってるのよ?!」


「ふっふっふっ。神の目は誤魔化せないのだぁ!」


 ぷりっとtoキラン!


 恥ずかしいからポーズはとらないけど。


「……わざとなの、それ……」


「うん。わざとだよ☆」


 本当のオレを知る者はいない。ねーちゃんだってオレの一割も知ってないだろうな。


「この子を理解できる者はいないわよ」


 なぜか魔女イブリーヌには存在を示す謎の守護天使。君よりは理解できる存在だと思うのですがね……。


「天使様も大変ね。こんな子の面倒見なくちゃならないなんて」


 酷い言われようです。オレ、根は素直でいい子なのに……。


「理解してくれるあなたに主の恵みがありますように」


 呪いみたいなもんだから気をつけなよ。シスターミレーヌ(元ばーちゃんね)のように神の傀儡になるぜ。


 カウンターの後ろにある隠し戸を強制的に開ける。


「……並みの魔術師でも見分けられないのに……」


 鑑定を駆使すれば魔女イブリーヌの秘密でも見抜いてやるぜ。いや、あとが怖いからやらないけどさ。


 魔女の館の地下には大きな魔法陣がある。


「転移魔法陣か。誰だよ、こんなもん考えたのは?」


 魔力は大量に消費するが、人を三人まで転移できるそうだ。


「……それもわかるのかい……」


「邪神の隠れ家で似たようなのがあったからね」


 召喚も転移も似たようなもの。ある地点からある地点に移動させるものなんだからな。


「魔女の秘密に興味はないし、口外するつもりもないよ。なんなら改良してあげるよ」


 転移魔法陣が発展してくれるならその欠点もわかるはず。それは聖都グランディールを守る手立てにもなるしな。


「……転移魔法よ? その意味がわかってるの……?」


「わかってるよ。けど、ボクには価値の低いものさ。好きなときに好きなところへ転移できないものなんてね」


 手のひらの創造魔法があれば苦ではない。やらないのは今は必要ないからだ。


 魔法陣がある上に隠せるくらいの絨毯を敷き、裏ボスが座ると映えるようなソファーを創り出した。


「……勝手に改装しないでよ……」


 外野の声など聞こえませぬ。いや、家主だけど。


 教会に放った数だけの万能偵察ポッドを創り出して、撮影しているものをこちらで映し出す。


「警戒しすぎじゃない?」


「今まで生き残ったには理由がある。なら、それは力だ。油断していい理由にはならないよ」


 こんな世界で十年生きる。それがどれだけ大変かはオレが一番知ってるわ。


 三十もの映像に目がチカチカして来るが、見過ごすことはできないのだから根性出せや! だ。


 しばらく教会に動きはなかったが、教会の周辺を撮影している万能偵察ポッドが垣根の隙間から出て来る男の子と女の子を捕らえた。


「……教会にいた男の子だ……」


 サーモグラフィーでも体の形は覚えている。会長と一緒にいたほうだ。


 なら、女の子のほうが獣になったほうか。


「さて。あなたは誰ですか~?」


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― 新着の感想 ―
[一言] 三人目って……把握
[気になる点] 転生者全員女なのかなぁ… 遺伝目的なら男で種ばら撒いても良さそうだけど
[一言] 更新お疲れ様です。応援してます。
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