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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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189 ZZZ……

 機動守護要塞──ではなく、守護天使リリー様によりオレたちは無事生還できた。


「まるで地獄だな」


 広がる煉獄世界にイビスが映画の主人公のように呟いている。


 まあ、溶岩と灰のにまみれてたらそう思えても仕方がないか。人が暮らすには不可能な状態となっているのだからな。


「人が生きる世界が地獄みたいなものだよ」 


 万能偵察ポッドを三十創り出し、まだグツグツ煮える溶岩へと放つ。


「なにするんだ?」


「環境破壊」


 各地に放ってある万能偵察ポッドに雪を収納して、放った三十から雪を排出させた。今が冬でよかったよ。


 焼け石に水な感じだけど、やらないよりはマシだ。周辺に及ぼす被害は甚大なのだからな。


 さらに五十の万能偵察ポッドを創り出して灰を吸引させる。


「意味があるのかい?」


「やらぬ対処よりやる対処だよ」


 少しずつ万能偵察ポッドを増やしていけば小規模で抑えられるはずだ。


「別にボスがやる必要はなかろう?」


「敵は溶岩をぶちまけたあとのことも考えてるんだよ。ウェルヴィーア教は神の敵。これは天罰。神の敵を討て。嫌なことを考える」


 自然災害は神の天罰だとアホなことを言うヤツは一定以上いる。そんなアホがターゲットにするのはウェルヴィーア教だ。


 まあ、この惨事を利用する手もあるにはあるが、天を覆うような灰のせいで食糧危機になるほうが目も当てられない。聖都グランディールに難民が押しかけられたらマッハで胃が消えるわ。


「……そこまで考えるか……」


「そう。そこまで考える敵なんだよ」 


 しかも、それは成功しなくてもいい。オレを災害の対応に縛りつけておくことはできるのだからな。


「でも、ボスはその先も考えてるんだろう?」


 最近、イビスちゃんにオレの行動が見抜かれてます。


「この春、枯れた大地をシスターリンが救う! 信徒よ。奇跡の証人になれ!」


 なんて映画の予告風に言ってみる。イビスちゃんには不評だったけど!


「太陽の下、堂々と生きているボクたちの力を邪神側に見せてやるさ!」


 裏でコソコソ動くには手間と時間がかかる。これからこちらの策を覆すことはできない。精々、邪魔するくらいだろうよ。


「あとは、万能偵察ポッドに任せてジェスたちと合流しようか」


 あちらも無事のようで、はぐれたときのために指定した町にいるようだ。


「そうだな。柔らかいベッドで眠りたいよ」


 それは同感。魔力も精神もヘトヘトだよ。


「リリー。お願い」


 守護天使様。我々を運んでくださいませ。


「わたしはシルバーの代わりじゃないんですけど」


「いつも人の頭に乗ってるんだからこんなときくらいボクたちを運びなさいよ」


「いいように使って!」


 守護天使がブーブー言うんじゃないよ。広く深い心で運んでちょうだいな。


 機動守護要塞に運ばれること半日。ジェスがいる町に到着した。いや、正確には少し手前の森の中。さすがに四メートルもあるゴーレムのまま町に入ったら大騒ぎである。


「……よかった……」


 通信はしていて安否は教えていたのに、ジェスったらオレたちの顔を見て安堵したようで膝を地面につけてしまった。


「ボクはそう簡単に死なないよ」


「死にそうな目には簡単に会うけどな」


 そんなちゃかしいらんがな。


「町の様子はどう?」


 戦奴町からここまで直線にして三十キロくらい。あの噴火の影響は受けてるはずだ。


「大騒ぎにはなっているが、逃げ出す者はいないな。雪で動けないのもあるが」


 吸引機は未だに人気商品だが、自由貿易都市群(リビラン)全体には広まってない。あったとしても数十くらいだろう。現に雪は膝くらいまで積もってるし。


「混乱になってないなら大丈夫だね」


 冬越しの貯蔵はしてるだろうから問題はないはずだ。まあ、噴煙がここからでも見えるので不安はあるだろうがな。


「宿は取れた?」


「ああ。ウェルヴィーア教の信徒だったのですぐに借りられた」


 へ~。ミリアル貿易都市から離れているのに信徒がいるのか。宗教こえ~。


「それはよかった。地下にいた子らは?」


「ミカンが世話をしている。まだ恐れているようなんでな」


 まあ、トラウマ級のことが起きて、すぐに馴染めと言うほうが間違っている。しばらくはミカンに面倒見てもらおう。


「とりあえず、二、三日は休むよ。心身ともに疲れたからさ」


 魔力は三割ほど回復できたけど、無理しすぎて回復速度がいまいちだ。ゆっくり寝て、たくさん食べて、心を落ち着かせたいよ。


「ジェスは聖都グランディールに向かって。ガイオーグとザイフルグに向かう準備しててよ」


 途中で隊商を組むのも面倒になったし、また予定外の起こるのも嫌だ。それなら聖都グランディールで用意したほうがスムーズにいきそうだぜ。


「スズたちは?」


「ボクたちはシスターリンと一緒に奇跡を起こすよ」


 じーちゃんやジュアたちに連絡はしておいた。一月くらいで来れるだろうよ。


「準備が早く整ったら情報収集に先行してもいいから」


 下手に我慢させると暴走するヤツらだからな。


「わかった」


 うん。確実に先行しそうな返事だわ。


 ジェスに宿へ案内してもらい、そのまま部屋に通されベッドにダイブ。お休み三秒で眠りへとついた。


 ZZZ……。


サブタイトル、村人転生でも使ったような?

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― 新着の感想 ―
[一言] 溶岩も回収できなかったのか( ˘ω˘ )
[気になる点] > 通信はしていて安否は教えていたのに、オレたちの顔を見て安堵したようで膝を地面につけてしまった。 誰が膝を地面につけたのでしょう?
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