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ウェルヴィーア~邪神と戦えと異世界に放り込まれたオレ(♀)の苦労話をしようか  作者: タカハシあん


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188 ボクは可愛い魔法少女

「……ボス。わたしたちは死んだのか……?」


「それなら神にグーパンしてるよ」


 あの場所だったら神が現れた瞬間に殴りにいってるわ。


「フフ。それは惜しいことをしたな」


 まったくだ。


「それで、これはどう言う状況なんだ? なんかバリアみたいなのに救われているのはわかるが……」


「まあ、その読みは間違ってないね」


 これは万能偵察ポッドが張った魔力壁。カイヘンベルクでの失敗を活かしてあの三倍の爆破でも耐えられるようにしてある。


 ……魔力を半年以上貯める必要があるけどね……。


「何事も経験はしておくべきだね」


 悪い経験も活かせば自分のためとなる。カイヘンベルクのことがなければ溶岩に飲み込まれて死んでいたことだろうよ。


「ボスのそう言うところは素直に尊敬するよ」


「敵に嵌められたこの状況で尊敬されても嬉しくないよ」


 保険は大事だが、まず敵の策に乗らないことが肝心である。それにまんまと乗せられてこの状況である。苦笑いしか出ないよ。


「まあ、引っかかったとは言え、それを覆してんだからボスも大概だろう」


 慰めるならしっかり慰めろよ。それでは貶されてるようにしか聞こえんわ。


「まあ、ボスが落ち着いてるなら問題ない、ってことは理解したよ」


 問題はあるよ。まだ溶岩の中にいるんだからさ。


「で、あそこにあったのってなんなんだい?」


 怒りに満ちて鑑定はできなかったが、自分に優しい魔法をかければ記憶を鮮明にして鑑定をすれば探ることはできる。


「自分にもかけるとか、ボスの容赦がないのも納得できるよ」


 うっさいよ。今大事なところなんだから静かにしてちょいだい。


 昇降機から見た魔法陣を思い出し、記憶に鑑定をかける。


「……召喚……?」


 なにか前の世界ともこの世界とも違う象形文字的なものが頭の中に浮かび上がるが、魔法陣の周辺を探ったら一番召喚の文字があった。


 ……そう言えば、あそこにはいくつもの魔法陣があったような……? 


 さらに探ると、八つまであったことを記憶していた。


 一旦、優しい魔法を解除する。長時間やると優しくないからな。


「どうだった?」


 イビスの問いに答えず、まず自分の頭の中で整理する。


 オレの推測では転移系の魔法陣かと思っていた。戦奴隷町が邪神側の秘密基地的なところで、どこかと通じているってね。流通など考えてない。なるべく戦奴町で完結できる感じだったし。


 けど、あの魔法陣が召喚のものだとなるとオレの推測は違って来る。


 空の檻。召喚。その二つをオレの推測に混ぜ合わると、ここから魔物(仮)を他に送る発送地となる、のか?


「戦奴町は魔物製造工場で、地下の魔法陣は魔物を送る転移装置、ってことだと思う」


 もうちょっと早く気がついていれば鑑定で見抜けたんだろうけど、いいように目を逸らされ、いいように誘い込まれ、あのふざけた言葉で感情を爆発させられた。


 血管切れそうなくらい悔しいが、あちらが一枚上手だった。いや、悪辣度は足元にも及ばない。


 あれは、性格が悪いだけじゃない。積み重ねられた憎悪や焦燥、あらゆる負の感情と、なにか強い意志みたいなものがあった。


 そうなると、邪神側に未来視や未来予知系の能力者はいない。精々があの男のような直感系の能力者くらいだろう。いたら神側はとっくに負けてるわ。


「魔物を生み出せ、いろんな場所に送り出せるか。そんな大規模な拠点を捨てるとか、敵はなにを考えているんだ?」


「わかんない。けど、求めるものは一つなんだと思う。だから他のものなら切り捨てられるんだよ」


 その一つが重いから、余分なものは簡単に捨てられるのだ。


「それが敵の強みでもあり弱点でもあるんだけどね」


 ただ、それがわからないことにはなんともできないんだけど。はぁ~。


「怖いな」


「まったくだよ」


「いや、怖いのはボスだよ」


「ボク? なんでよ?」


 可愛い要素はあっても怖い要素なんてないでしょ。


「わたしは直接的な行動しか取れない。目に見える敵にしかトリガーを引けないんだよ。ボスみたいに隠れてる敵を見つけて対抗策を考え、拠点を放棄させるまで追い詰めることはできない。よほどの敵でなければ心胆を寒からしめていることだろうよ」


「並みの敵なら怖くはない。そう言うヤツは正攻法を取るからね。でも、ボクたちを溶岩に飲み込ませた敵は正攻法は下っぱに任せ、その裏で暗躍している。こちらに悟られないように、感じさせないように、ね」


 だから厄介。勝利条件が定まらないのだ。


「まあ、敵のことはボスに任せるよ。わたしは、目に見える敵を撃つことに全力を注ぐからさ」


 一緒に考えて欲しい。と言うのは贅沢か。充分すぎるくらい動いてくれるオレの手足なんだからな。


「そうして。敵には女騎士がいるんだからさ」


 真の敵に近づくにはあの女騎士を排除しなくちゃならない。それは、オレではおそらく無理だろうからな。


「それで、ここからどうやって生還するんだい?」


「機動守護要塞さん、どんな感じじゃろ?」


 リリーはゴーレム化するだけではない。機動守護要塞化もするのである。


「変な呼び方しないで! もうすぐ出れると思うわ」


 万能偵察ポッド同士で位置を確かめ合ってるので迷子になることはないのです。


「ってことだよ」 


「まったく、おっかないボスだよ」


 ボクは可愛い魔法少女ですぅ~!

 

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[一言] 魔法少女(笑)やな( ˘ω˘ )
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