186 戦奴町の謎
ケダモノの処理がやっと終わった。ふぅ~。
「やった感出したいなら自分でアイテムボックスにいれろよ」
「万能偵察ポッドはボクの手足。自分でやってるも同然です」
それに、万能偵察ポッドはオレの魔力で動いている。ただ動かすだけでも労力はかかってるんだよ。
「隠れてる者はいないよね?」
万能偵察ポッドにも探らせたが、敵はそれを掻い潜る力を持っている。五感と勘に優れた二人にも念のために探らせたのだ。
「いない」
「念のため周囲も探ったが、それらしい跡もなかったよ」
なら、いないと判断するか。二人にわからないのならとうしようもないしな。
「じゃあ、宝探しと行きますか!」
「はぁ? 宝探し? どう言うことだ?」
意味ワカリマセーンなイビスちゃん。
「田畑もなくこれと言った生産もない。近隣の村とも繋がりもない。道も獣道レベル。これで生活できると思う?」
「……つまり、溜め込んでいると……」
正解と頷く。
ここまで来る間に人が往来した痕跡はなかった。ならば、冬越しの準備をしたってことだ。
「数百人分の食糧。十二分に宝と言ってもいいでしょう?」
他にも貴金属とかあったら小躍りしちゃいますぜ。
「ボスって貧乏性だよな。もう必要ないだろうに」
「食糧に充分はないの。いつ食料危機になるかわからないんだから、あるときに貯めておかなくてどうするの」
貧乏性であることは認める。だって貧乏だったし。苦労して来たし。紛れもない事実だし。
我にアイテムボックスあり。聖都グランディールの下には広大な空間(まだ調査に至ってないけど)がある。貯め込めるならどんどん貯め込むぜ!
「万能偵察ポッドに警備させるから分かれて宝探ししてちょうだい」
散れ! 者どもよ。と、オレも宝探しに出発した。
戦奴町の戸数は二十くらいで、大小様々な石造りの倉庫があった。
「なんでや?」
その一つの倉庫に入ってみる。
中には檻がいくつも積み重ねてあり、なにか腐ったような臭いで満ちていた。
虹色のものが口からリバースしそうになったが、すぐに魔法で臭いをシャットアウトする。
「……生体実験してたのかな……?」
でも、邪神の揺り籠があるんだから生体実験とかいやらんやろうし、まったく想像がつかんわ。
「まあ、なんでもいいや」
ここのヤツらがなにをしてようが災害竜ほどの大事にはならないはずだし、重要な場所ならもっと守りを厳重にしているはず。あの男以外雑魚なのを考えると、邪神側にとってはそれほど重視してないってことだ。
「貴金属ではないけど、金属には違いない。融かして農具とかにすればいいさ」
クリーンになる魔法で檻を綺麗にしてアイテムボックスへと放り込んだ。
なにもなくなった倉庫を見回し、床を>っと鑑定。地下に続く扉とかはなし、か。
「ハズレか」
がっかりと次の倉庫へ移るが、そこも檻しかなかった。
「ってか、この檻ってどうやってここまで運んだんだ?」
人が一人入れるものから象が一匹入れるものまである。ここで作った感じではないから運んで来たのだろう。たが、どうやってだ?
重いものでも一トン近くある。クレーン車やトラックがないと無理だろう。
外に出て戦奴町を見て回る。
車輪の跡はたくさんあるが、クレーンみたいなのはない。積み降ろしの形跡もない。ただ、大きな靴が多数あった。
「巨人でもいるのか?」
足のサイズが四十センチくらい。そこから考えて身長は三から四メートルはありそうだ。
いない理由はわからないが、身長が三、四メートルもあれば目立ってしょうがない。それが噂にならないってことは隠されているってこと。でなければ、少ないってことだ。
「スズ。どうした?」
考えてたらいつの間にかジェス目の前にいた。
「この世界に巨人とかいる?」
「巨人? お伽噺では聞いたことあるが、いるとは聞いたことはないな。どうかしたのか?」
ジェスに四十センチくらいある足跡を指差した。
「……足跡、なのか……?」
それ以外に見えるなら教えて欲しいくらいだ。
「まあ、巨人がいるとかはどうでもいいんだよね。問題は、巨人を隠せるだけの力があり、移動させる手段があるってことだよ」
考えられることは転移系の魔法があり、アイテムボックスみたいなのがあるってことだ。
……邪神側には補助部隊みたいなのがあるっぽいな……。
「想像しているより邪神側は組織立ってるかもしれない」
感じからしてピラミッド組織よりフラット組織っぽいな。
「はぁ~。災害竜からして何百年も前から築かれている組織と戦わなくちゃならないとか泣けて来るよ」
何百年ものイニシアチブを取られてる相手だよ? 涙の一つでも出て来ると言うものだ。
「フフ。涙一つで済むんだ。オレなら絶望に涙も出ないけどな」
ジェスのクセに言うじゃないか。
「まあ、いるとわかっただけ収穫はあったよ」
いるとわかれば見方も変わる。潰し方も考えられるってもんだ。
「で、お宝はあった?」
「ああ。軍資金らしきものがあった」
ジェスのアイテムボックスからオレのアイテムボックスへと銀貨が移された。
「ん? 自由貿易都市群の貨幣じゃない?」
自由貿易都市群の貨幣には太陽と月の模様が刻まれているが、アイテムボックスに移された銀貨には男の横顔が刻まれていた。どこのだよ?
「おそらくアイカワ帝国のものだと思う。前に見たことがある」
「アイカワ帝国の? なんで自由貿易都市群にあるの?」
「そこまでは知らん」
まあ、その辺はじーちゃんに訊けばいいか。
「ジェス。ボスと一緒に来てくれ。謎の通路を発見した」
と、ジェスについてる万能偵察ポッドからイビスの声が。なによ、謎の通路って?
なにかいろいろ秘密がある戦奴町である。




